最終更新日 2024.10.7
「誹謗中傷で警察が動かないことが多いのは本当か?」
「誹謗中傷で警察が動かない理由とは?」
「誹謗中傷で警察が動かないときの対策」
SNSやネット掲示板などで誹謗中傷された結果、世の中に悪評が広がり、収益やブランドに多大なダメージを受ける企業が増えています。誹謗中傷の内容があまりにも悪質で、かつ被害な甚大な場合は、警察へ通報して対応してもらいたいケースもあるでしょう。
しかし、誹謗中傷で警察は動かないことが多いのも事実です。そこで今回は、誹謗中傷で警察が動かないのは本当かどうかを確認するため、動かない理由や動かないときにやるべきこと、その他の対策などについて解説します。
誹謗中傷で警察が動かないのは本当か?
誹謗中傷で警察が動かないことはありません。ただし、なかなか動かないのは事実です。
誹謗中傷で警察に動いてもらうためには、なんらかの罪にあたることを証明しなくてはいけません。つまり、加害者の罪を立証できれば、誹謗中傷で警察に動いてもらうことは可能です。
誹謗中傷で警察が動かない理由は2つ
誹謗中傷で警察がなかなか動かない理由は大きく2つあります。それぞれの理由について確認しておきましょう。
理由1.民事控訴で解決できる可能性が高いため
誹謗中傷で警察がなかなか動かない理由のひとつは、わざわざ警察が介入しなくても解決できると判断される案件が多いためです。
誹謗中傷は違法性の低いものが多く「民事不介入」と判断されるケースがよくあります。民事不介入とは、警察が介入しなくても民事訴訟で解決できるという原則です。民事不介入と結論付けられることは「当事者同士で解決してください」と同じ意味だといえます。
例えば、SNSなどで特定の個人に対して「デブ」「ハゲ」などの言葉で辱しめがあった場合、加害者は侮辱罪に抵触する可能性が高いでしょう。しかし、多くの侮辱罪については、当人同士による交渉、若しくは弁護士に依頼して民事裁判を起こせば解決する場合が多いです。
理由2.表現の自由が権利として認められているため
誹謗中傷で警察がなかなか動かない2つ目の理由は、表現の自由が権利として認められているためです。日本国憲法第21条で、表現の自由は以下のように定義されています。
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 |
出典:法令リード/日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務 第21条
日本国憲法で表現の自由が認められているため、誹謗中傷の投稿と被害者の権利が対立構造になることが多いです。国民がいつでもどこでも好きなことをいってもよいという権利があるため、誹謗中傷を罪として断定することが難しくなっています。
そのため、誹謗中傷を簡単に取り締まれないことも、警察がなかなか動かない理由です。
なお、言論の自由と誹謗中傷の関係性については、以下の記事で詳しく解説しているのでご確認ください。
https://effectual.co.jp/sorila/blog/freedom-of-speech/
誹謗中傷で警察が動きやすくなる3つの条件
誹謗中傷で警察が動きやすくなる、条件があります。ここでは誹謗中傷で警察が動きやすくなる3つの条件を紹介するので、ぜひ実践してみてください。
条件1.名誉毀損罪に該当する場合
名誉毀損罪に該当すると警察が判断した場合は、動いてくれやすくなるでしょう。名誉毀損罪とは、刑法第230条に規定されている罪です。
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。 |
出典:e-Gov 法令検索/刑法(明治四十年法律第四十五号)
つまり名誉毀損罪とは、特定人物の事実を公然に露呈して、名誉を毀損する罪だといえるでしょう。名誉毀損罪を成立させるためには、以下3つの要件を満たさなくてはいけません。
- 公然性がある
- 事実を適示する
- 他人の名誉を毀損している
また名誉毀損罪では、誹謗中傷の内容が事実かどうかは無関係です。例えば、SNSなど不特定多数のユーザーが閲覧できる場で、「〇〇の食品には異物が混入しているらしい」といった発信をしたユーザーは、企業側に名誉毀損罪で訴えられる可能性があるでしょう。
条件2.侮辱罪に該当する場合
誹謗中傷の内容が侮辱罪に該当する場合も、警察が動いてくれる可能性は高くなります。
侮辱罪とは刑法231条に規定されている、以下のような罪です。なお侮辱罪は、2022年6月13日に改正刑法が成立しており、7月7日に施行されているため、ご存じの方も多いかもしれません。
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 |
出典:e-Gov 法令検索/刑法(明治四十年法律第四十五号)
つまり侮辱罪とは、相手を蔑視したり馬鹿にしたりすることによって、他人の名誉を傷つける罪だといえるでしょう。ただし、侮辱罪が成立するためには、以下4つの要件を満たす必要があります。
- 公然性がある
- 事実を適示する必要はない
- 特定の個人や法人が対象である
- 侮辱にあたる
例えば、SNSで特定のユーザーに対して「バカ」「デブ」などの誹謗中傷を行った場合、加害者は侮辱罪に問われる可能性があります。
条件3.誹謗中傷の内容が悪質な場合
誹謗中傷の内容が悪質で事件性がある場合は、警察が動いてくれやすいです。
例えば、従業員へのプライバシー侵害など、多大な被害を受けている場合や、被害者やその家族への脅迫が含まれる場合などは、警察以外対応できません。明らかに事件性がある場合は、早めに警察へ相談しましょう。
誹謗中傷によって企業側が被る被害
誹謗中傷されたままの状態を放置すると、企業側にデメリットが生じる可能性は高いです。誹謗中傷によって、企業が被る主な被害について解説します。
収益やブランド力の低下
誹謗中傷の被害にあった企業は、収益やブランド力が低下する場合があるでしょう。自社や商品、サービスの悪評が広がり、競合他社へ顧客が流れてしまうこともあります。一度失った社会的信頼を取り戻すためには、多くのコストと時間が必要です。信頼が回復しない間は、収益が大幅に下がることもあるため、そのまま倒産してしまうリスクもあります。
サジェスト汚染の被害
誹謗中傷による被害を放置すると、サジェスト汚染が発生することもあります。サジェストとは検索エンジンを利用する際、キーワードの下に表示される別のキーワードです。例えば、自社の商品名やサービス名を検索したとき「〇〇 最悪」「〇〇 詐欺」といったサジェストが表示される状態は、サジェスト汚染だといえます。
サジェスト汚染が発生すると、多くのユーザーに原因となっているネガティブな投稿や記事が見られるため、サービスの利用や商品の購入を控える可能性が高くなるでしょう。
なお、サジェスト汚染の概要や対策については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご確認ください。
https://effectual.co.jp/sorila/sorila/blog/suggest-pollution
採用活動への悪影響
誹謗中傷の被害が広がり、企業の評判が下がると、採用活動を行っても優秀な人材を採用することが困難になるでしょう。また、既存社員とのエンゲージメントも下がるため、自社に誇りが持てなくなったり、仕事へのモチベーションが下がったりすることで、離職率が向上する可能性もあります。
少子高齢化で労働人口が減少傾向にある中、採用活動にさらなる悪影響が及ぶことによって、継続的な事業活動ができなくなるのは、企業にとって大きなダメージです。
誹謗中傷で警察が動きやすくなるためにやるべきこと
誹謗中傷で警察に動いてもらうために、確実にやっておきたいことがいくつかあります。それぞれの内容について解説するので、ぜひ実践してみてください。
サイバー犯罪相談窓口への相談
近所の交番や警察署ではなく、サイバー犯罪相談窓口に相談してみると、誹謗中傷で動いてもらえる可能性が高くなるでしょう。サイバー犯罪相談窓口とは警視庁が設置した、ネット犯罪を専門に対応してくれる問合せ先です。
警察官の中にはITリテラシーがそれほど高くない方もいるので、特にSNSやネット掲示板が誹謗中傷被害の原因になっている場合は、サイバー犯罪相談窓口にも相談することをおすすめします。
なお、都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口一覧は、以下のサイトをご確認ください。
参考:警察庁/サイバー犯罪対策
違法性を証明するための証拠集め
違法であることを証明するための確固たる証拠を明示することで、警察が動いてくれやすくなります。例えば、SNSの場合などは、スクリーンショットを撮っておき、プリントアウトすることで証拠として活用することが可能です。
SNSの投稿などは、後から内容を改ざんしたり削除したりできる場合もあるため、誹謗中傷による被害状況を明確化するためにも、必ずスクリーンショットなどを撮っておきましょう。また、弁護士に依頼することで加害者を特定できると、さらに警察に動いてもらいやすくなります。
告訴状の提出
誹謗中傷の場合は、被害届だけでは警察がなかなか動いてくれないので、告訴状を準備して提出したほうが効果的でしょう。
告訴状とは、被害者が警察に対して犯罪の事実を申告し、加害者への処罰を求める書類です。被害届は、あくまでも犯罪による被害状況を申告する書類なので、加害者への処罰を求めるものではありません。
名誉毀損罪や侮辱罪の公訴には、告訴状が必須なので準備しておきましょう。
誹謗中傷被害を警察以外で解決する方法
誹謗中傷で警察がなかなか動いてくれないのは事実のため、別の対策も打つべきです。ここでは、誹謗中傷被害を警察以外で解決する方法を3つ紹介します。
誹謗中傷投稿の削除依頼
誹謗中傷の原因となっているコンテンツが投稿されているWEBサイトやSNSの運営会社、また投稿したユーザーに直接連絡して、対象となる投稿を削除してもらえる場合があります。
交渉の結果、削除に応じてもらえれば誹謗中傷の原因がなくなるため、被害の抑制につながるでしょう。ただし、交渉に応じてもらえない場合もあるので注意が必要です。
なお、SNSの誹謗中傷投稿を削除依頼の方法については、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。
https://effectual.co.jp/sorila/blog/harmful-rumours-twitter/
弁護士への相談
弁護士に依頼すれば、誹謗中傷投稿を行った相手を特定し、削除依頼をすることが可能です。SNSやネット刑事版など匿名で投稿している場合でも、加害者を特定できるため、誹謗中傷の原因を排除しやすくなります。
また、加害者を控訴したい場合でも、弁護士に依頼することで手続きを代行してもらえるでしょう。弁護士が資料作成や証拠集めを行うことで信ぴょう性が増し、警察が動きやすくなる点も大きなメリットです。
弁護士の誹謗中傷対策については、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご確認ください。
https://effectual.co.jp/sorila/blog/sns-solatium/
https://effectual.co.jp/sorila/blog/harmful-rumours-lawyer/
誹謗中傷対策の専門業者へ相談
警察がなかなか動いてくれない場合や、弁護士に依頼しても誹謗中傷被害が収まらない場合には、誹謗中傷対策の専門業者への依頼も視野に入れましょう。
誹謗中傷対策の専門業者は、逆SEOなどの施策を行い、ユーザーが誹謗中傷コンテンツを名にする機会を減らすことが可能です。そのため、誹謗中傷による被害を抑制しやすいでしょう。
逆SEOの効果については、以下の記事も参考にしてみてください。
https://effectual.co.jp/sorila/blog/reverse-seo-effect/
誹謗中傷で警察が動かない場合はオンライン評判管理対策がおすすめ
誹謗中傷は、警察が介入する必要のない民事抗争と判断される場合が多く、動かない可能性が高いです。誹謗中傷で警察に動いてもらうためには、名誉毀損罪や侮辱罪といった罪を証拠とともに立証することに加え、具体的な被害が出ている必要もあります。
しかし、それでも誹謗中庸で警察が動いてくれるケースは非常に少ないでしょう。そのため、弁護士に依頼して民事裁判を行うケースも散見されます。ただし、こちらも多くの時間と工数がかかる上に、裁判に必ず持ち込めるわけではない点や負ける可能性がある点がデメリットだといえるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、エフェクチュアルの「オンライン評判管理対策」です。オンライン評判管理対策とは、法律では解決できない誹謗中傷被害をWEBリスクのコンサルタントが、以下3つのサービスをご提供することによって解決します。
- ネガティブサイト対策サービス
- ネガティブキーワード対策サービス
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検索エンジンにおいて、10位以下のWEBサイトは、ユーザーにほぼ見られないというデータがあります。そのため、誹謗中傷サイトの検索順位を下げることによって、ユーザーが閲覧する機会を減らせるため、誹謗中傷被害のリスク抑制につなげることが可能です。
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ネガティブキーワード対策サービスとは、検索エンジンの入力補助・関連検索に表示される誹謗中傷キーワードを対策するものです。例えば「〇〇 詐欺」「〇〇 ブラック」といったサジェストキーワードの表示を抑制するものと考えれば、分かりやすいでしょう。当社モニタリングシステムが誹謗中傷キーワードを早期に発見するため、スピーディーな対策の実施が可能になります。
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