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キャンセルカルチャーとは?特徴や事例、問題点についてわかりやすく解説

企業などの公式での発言や行動がきっかけとなって発生する「キャンセルカルチャー」は、SNS上での炎上だけではなく、不買運動やボイコットといった行動に発展するケースを指します。そのため、企業の評判や業績に深刻なダメージを与える可能性があります。近年では、海外だけではなく、日本国内でも事例が増えており、企業にとってキャンセルカルチャーへの対策は不可欠となっています。

この記事ではキャンセルカルチャーの概要や、日本・海外での事例、キャンセルカルチャーへの対策方法を紹介します。

目次

キャンセルカルチャーとは?

キャンセルカルチャーとは、ある人物や企業が不適切な発言や行動をしたときに、SNSでの糾弾や不買運動、ボイコットといった形で社会的に排除しようとする動きのことを指します。

たとえば、問題発言を受けてテレビ番組やCMの出演が取りやめになったり、著名人が番組を降板させられたり、企業の商品が買われなくなるといった現象が当てはまります。

対象となるのは政治家や芸能人、インフルエンサーのような著名人だけでなく、企業や団体も含まれます。人種差別的な発言や偏見、不正行為などが明らかになると、キャンセルカルチャーが起こることが多くなっています。

「コールアウトカルチャー」や「炎上」とは何が違う?

「キャンセルカルチャー」と似た言葉に、「コールアウトカルチャー」や「炎上」がありますが、それぞれ異なった意味を持ちます。

コールアウトカルチャーとは、社会的に不適切とされる発言や行動に対して公に指摘し、強く非難する動きを指します。特に、相手をただ批判するだけでなく、他者を「必要ない(Call-out)」とし、社会から排除しようとする点で、キャンセルカルチャーよりもさらに攻撃的で排他的な傾向を持っています。

一方、「炎上」は、企業や個人の発言・行為がSNSなどで注目され、多くの人から一斉に批判を浴びる現象です。炎上は一時的なバッシングで終わる場合もありますが、キャンセルカルチャーは、謝罪の要求や商品・サービスの不買運動など、実際に制裁を行う点が異なります。

企業にとってキャンセルカルチャーのリスク対応が重要な理由

現代のビジネス環境において、キャンセルカルチャーは企業が軽視できないリスクのひとつです。企業の発言や行動、あるいは製品やサービスがきっかけで社会的な批判を招くと、企業としての信用が揺らぎ、業績にも悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、SNSを通じた情報発信や広告戦略だけでなく、従業員への教育や企業全体の意識改革に至るまで、リスクを未然に防ぐ体制づくりが重要です。

一度でも不適切な言動が問題視されれば、顧客だけでなく、株主や取引先、社内関係者など幅広いステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。特にSNSでの投稿は、一度公開されると完全に削除することが難しく、長期間にわたって企業のイメージダウンにつながるリスクがあるため、日頃から慎重に運用していくことが重要です。

日本でのキャンセルカルチャー事例

日本で起きたキャンセルカルチャーの事例を紹介します。

東京オリンピック委員会の事例

2020年の東京オリンピック大会において、当時の組織委員会会長であった森喜朗氏が、女性に対する差別的と受け取れる発言を行い、世間からの批判を受けて辞任しました。また、開会式直前には音楽家の小山田圭吾氏が過去に語った同級生へのいじめ行為が改めて問題視され、強い反発を受けて辞任することとなりました。これらの一連の出来事は、キャンセルカルチャーの事例といえます。

サントリーの不買運動

2023年、サントリーの社長がマイナンバーカードの普及を進めるために健康保険証や国民皆保険を廃止すべきだと受け取れる発言を行い、世間からの強い反発を招きました。この発言はSNS上で「#サントリー不買運動」というハッシュタグとともに広まり、同社の株価にも影響を及ぼしました。さらに、ジャニーズ事務所との広告契約に対する批判も重なり、一部のファンの間で不買運動が加速する要因となりました。

NIKE不買運動

スポーツブランドであるナイキは、2020年に差別問題をテーマとした動画を公開しましたが、日本国内の一部ではその内容が「反日的」と批判され、SNS上で「#NIKE不買運動」や「#ナイキのCMは日本ヘイト動画です」といったハッシュタグが拡散されました。このことが発端となり、不買運動が広がる形となりました。

Amazonプライム解約運動

2020年にAmazonがある国際政治学者をCMに起用しましたが、その人物が過去に行った徴兵制に関する発言や差別的と受け取られる言動が掘り返され、SNS上で大きな議論を呼びました。特にX(旧Twitter)では「#Amazonプライム解約運動」というハッシュタグが拡散され、出演者の過去の発言に対する批判が相次ぎました。

海外におけるキャンセルカルチャーの事例

海外で起きたキャンセルカルチャーの事例について紹介します。

ロック音楽界での動き

 近年では、『ローリング・ストーン』誌の共同創刊者であり、「ロックの殿堂」設立にも関与したヤン・ウェナー氏が、ニューヨーク・タイムズのインタビューで黒人や女性アーティストに対して不適切とされる発言を行い、批判が集中しました。最終的にロックの殿堂財団の理事を解任されました。また、クイーンやローリング・ストーンズといった有名バンドの過去の楽曲についても、人種差別的な内容があるとして、アルバムからの削除やライブでの演奏中止といった対応が取られるケースが出ています。

Black Lives Matter運動

Black Lives Matter運動では、奴隷制度や人種差別と関わりのある歴史的人物の銅像を撤去または破壊する活動や、関連する団体名の変更を求める声が高まりました。また、「Defund the Police(警察予算の削減)」に反対する立場をとる人物に対しては、社会的地位を失わせるような圧力がかけられるケースもあり、一部が過激化する場面もありました。

J.K.ローリング氏

『ハリー・ポッター』シリーズの作者であるJ.K.ローリング氏は、トランスジェンダーを女性として認めない立場の女性をSNS上で擁護したことで、世間から激しい批判を浴びました。また、それ他のLGBTQ+に対する発言も物議を醸し、彼女の思想に疑問を抱いた所属事務所の作家4人が事務所を辞めました。一部のファンの間でも彼女への支持を撤回する動きが広がりました。

キャンセルカルチャーが社会に及ぼす問題点

キャンセルカルチャーには、差別是正といった前向きな側面がある一方で、他者を公に非難し、謝罪や処分を迫る風潮に対しては、批判的な声も少なくありません。主に以下のような懸念点が指摘されています。

  • SNSなどのオンライン上で誤情報が拡散され、事実ではない情報に基づいて誤った判断や行動が起きる可能性がある
  • 批判が過激化すると、当事者の個人情報が晒されたり、人格を否定するような行為に発展することもあり、人権やプライバシーの侵害につながる可能性がある
  • 発言するリスクが高まるため、自由な意見発信が困難になり、かえって多様な価値観や意見が抑圧される可能性がある
  • 互いの立場や背景を理解しようとする対話の機会が減ることで、社会の分断が深まり、異なる意見を持つ人々との共存が難しくなる

企業がキャンセルカルチャーのリスクに備えるための対策

企業が行うべきキャンセルカルチャーへの対策として、以下の3つを紹介します。

コンプライアンス遵守を徹底する

企業がリスクを適切にコントロールしていくためには、コンプライアンス遵守を徹底するための社内における統治体制の構築、つまり「内部統制」の整備が不可欠です。内部統制とは、企業が事業目標や経営方針を着実に遂行するために設けるルールや仕組み、運用体制のことを指します。

この体制を整えることにより、潜在的なリスクの適切な把握や評価が可能になるだけでなく、法令遵守の徹底や、社会的に配慮のある行動・発言を促す企業文化の醸成にもつながります。

また、制度設計やルールづくりと並行して、従業員向けにキャンセルカルチャーへの理解を深める研修を実施するなど、意識改革を進めていくことも有効な取り組みといえるでしょう。

企業からの発信は慎重に行う

万が一キャンセルカルチャーが発生した場合、影響を最小限に抑えるためには、誠実な対応を行うことが重要です。

米国で行われた調査によれば、キャンセルカルチャーの対象となった企業であっても、誠実な謝罪と反省の姿勢を見せた場合には、約半数の消費者が引き続きその企業の商品やサービスを利用し続ける傾向にあることが分かっています。また、日頃から親しんでいる商品・ブランドに対しては、たとえ炎上や批判が起きても、全てをボイコットするわけではなく、利用を継続する層も一定数存在しています。

このことからも、万が一キャンセルカルチャーに直面した際は、誠意をもって謝罪し、信頼回復に努める姿勢が非常に重要であるといえるでしょう。

ネットやSNS上での企業の評判を監視する

キャンセルカルチャーのリスクを軽減するうえで重要なのが、SNSの監視です。多くの場合、キャンセルカルチャーは「#MeToo」などのように、SNSやインターネット上での発信から広がっていきます。そのため、日頃からSNSをモニタリングし、異変をいち早く察知できれば、早期対応によって影響を最小限に抑えることが可能になります。適切な対応ができれば、企業への信頼を回復することにもつながるでしょう。

また、SNS上で日常的にユーザーの声をチェックしておくことで、炎上やキャンセルカルチャーに発展しやすいテーマや表現の傾向を掴むこともできます。

しかし、膨大な情報量のSNSをすべて手作業で確認するのは現実的ではなく、見落としや判断ミスのリスクも高まります。そのため、SNS上の投稿を自動で収集・解析してくれる「ソーシャルリスニングツール」の導入がおすすめです。

企業の評判をWebリスクから守るならエフェクチュアル

SNSで企業に対する誹謗中傷や風評被害、不買運動などが発生すると売り上げが減少したり、ブランドイメージが低下したりする可能性があります。

被害を最小限に抑えるためにも、SNSをモニタリングし、早期に問題を発見、対応することが重要です。

エファクチュアルでは、SNSや掲示板、口コミサイトなどのオンライン上の炎上リスクをモニタリングし、企業への影響を未然に防ぐ「mimamorn」を提供しています。

また、万が一炎上したり、ネガティブな情報が出回ってしまった場合には、企業のブランドイメージを守り、風評被害を最小限に抑える「オンライン評判管理対策」も提供しているため、企業をWeb上のリスクから包括的に守ることができます。

まとめ

企業や著名人の発言や行動がきっかけとなり、SNS上で批判が広がったり、不買運動・ボイコットといった行動に発展するキャンセルカルチャーは、現代のビジネスにおいて大きなリスクのひとつとなっています。

キャンセルカルチャーへの対策としては、コンプライアンスの遵守や、企業の誠実な対応、SNSの監視などが挙げられます。特にSNSの監視については、分析ツールやソーシャルリスニングツールを活用することで、トラブルの兆候を早期にキャッチし、迅速に対応できる体制を整えることが可能になります。

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