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コンプライアンス違反とは?具体例や原因、対策と対処法について紹介

最終更新日 2024.11.1

近年、企業はコンプライアンスを厳しく求められる傾向にあります。

インターネットの普及により、匿名での不正情報の告発が容易になり、一度発信されてしまうとネットやマスメディアで大きく取り上げられてしまうようになりました。

コンプライアンス違反をきっかけに社会的信用を失う可能性もあるため、コンプライアンスに対する高い意識を持つことが求められています。

この記事では、コンプライアンスの定義や重要視される理由、違反となる具体例や違反の原因、対策と対処法について紹介します。

なお、ネット上のコンプライアンス違反を防止したい方は、WEB監視ツールをご利用ください。

目次

コンプライアンスとは

「コンプライアンス(compliance)」は、直訳すると「法令遵守」を意味します。言葉通り、国が定めた法律や規則を守ることを指します。

しかし近年では、法令だけでなく、企業倫理やモラル、道徳といった社会的規範も含めた広範な概念として認識されています。

そのため、コンプライアンスとは、単なる法令遵守にとどまらず、ステークホルダーや消費者の信頼を損なわないための包括的な取り組みを指すと理解することができます。

内部統制との違い

「コンプライアンス」と類似した意味を持つ言葉に「内部統制」があります。

内部統制とは、企業を適切かつ健全に運営するために設けられた社内の規則や仕組みのことを指します。内部統制には、主に以下の4つの目的があります。

内部統制の目的
  • 業務の有効性と効率性の確保
  • 財務報告の信頼性の向上
  • 事業活動における法令遵守
  • 資産の保全

一方で、コンプライアンスは、内部統制を整備することで実現される目標の一つとして位置づけられています。

つまり、内部統制の仕組みを整えることで、企業がコンプライアンスを守る体制が確立されるというような関係です。

コーポレートガバナンスとの違い

もう一つ似た意味を持つ言葉として「コーポレートガバナンス」があります。

「コーポレートガバナンス(corporate governance)」は、直訳すると「企業統治」という意味です。日本公認会計士協会のサイトでは「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義されています。

コーポレートガバナンスと内部統制との大きな違いは、仕組みによって監視・管理される対象です。コーポレートガバナンスは、株主や取締役会などが会社の経営者を監視する仕組みであるのに対し、内部統制は経営者が会社の従業員を管理する仕組みとなっています。

※参照元:日本会計士協会『コーポレート・ガバナンス(企業統治)』

CSRとの違い

CSRとは「Corporate Social Responsibility(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)」の略で、企業の社会的責任を意味します。

企業は、単に経済的利益を追求するだけでなく、地域や社会のニーズに応え、社会貢献を果たす責任を負っているというのがCSRの基本的な考え方です。

コンプライアンスは、CSRを含む企業活動の基盤となるものであり、コンプライアンスを守ることで初めてCSRに取り組むことが可能となります。

このように、コンプライアンスはCSRの前提条件として重要な位置づけを持っています。

コンプライアンスが重要視される背景

コンプライアンスが重要視される背景として、国際化による日本市場の自由化が挙げられます。

かつては国による規制と保護がありましたが、規制が緩和され市場が自由化されたことにより、企業単位での法令遵守が重要となりました。

もう一つ、近年コンプライアンスが重要視される理由として、インターネットの普及が挙げられます。インターネットやSNSを利用して企業や個人が不正に対して匿名告発しやすくなっています。

また、「改正公益通報者保護法」が2022年6月に施行され、企業は従業員からの内部通報に適切に対応するための体制を整備することが義務づけられました。

こうした体制が整備され、従業員が声を上げやすい環境が整ってきているため、コンプライアンスがさらに重視されています。

コンプライアンス違反の具体的な事例

コンプライアンス違反と認定される具体的な例を紹介します。

通常の業務であっても一歩間違えればコンプライアンス違反となってしまうようなケースが多くあるため、具体例について認識し、対策に活かすことが重要です。

情報漏洩

コンプライアンス違反になりやすい代表例として情報漏洩が挙げられます。

情報漏洩が起こるパターンとしては以下の3つがあります。

  • 部外者に機密情報が伝わる
  • 社外秘のデータを外部に持ち出す
  • 顧客情報を私的に利用する

情報漏洩は自社の社員から漏れることもあれば、クライアントなど業務上機密情報を開示する相手から漏れることもあります。

例えば、部外者に機密情報が伝わるパターンとして、オープンスペースでクライアント名を出して会話した場合や、ランチで外食する際に案件情報について会話した場合などが挙げられます。

社外秘のデータについても、テレワークが浸透しつつある現在では、PCごと社外に持ち出す機会が増えているため注意が必要です。

顧客情報の私的利用については、転職後に前職の顧客データを活用して営業することなどが挙げられます。

どの事例についてもコンプライアンス違反になる可能性があるため注意が必要です。企業は顧客の個人情報や取引先の情報など多くの機密情報を扱っているため、情報漏洩が起こると社会的な信用を失うことにもつながります。

ハラスメント

近年より注目されているハラスメントもコンプライアンス違反の一種です。

具体的には性差別的な発言・言動を指すセクシュアルハラスメントや、立場や権力を利用した嫌がらせを指すパワーハラスメントなどがあります。

セクシュアルハラスメントは、男女雇用機会均等法第11条第1項において、事業主(企業)のセクハラ防止措置義務が定められています。また、パワーハラスメントについては、改正労働施策総合推進法において、企業におけるパワハラ対策が義務化されています。

企業ではコンプライアンス違反にならないよう、ハラスメント研修といった対策を実施している場合もあります。

不正利用

会社から業務上支給される備品を不正に利用することもコンプライアンス違反となります。

例えば、業務用のPCやSP、社用車の私的利用、備品の持ち帰りなどが該当します。規則上持ち帰れるものも多いため、無意識でプライベートでの利用と区別がつかなくなる可能性もあります。

企業側で明確な規則と違反した場合の罰則などを明示しておく必要があります。

不適切会計

会社の財務情報や経費を不正に改竄した場合にはコンプライアンス違反となります。

具体的には、資金の横領や循環取引、押し込み販売などが挙げられます。

長年不適切会計が行われている環境や、数字へのプレッシャーが過度に強い環境では不適切会計が行われやすくなります。コンプライアンスを意識した業務の透明性の確保が必要となります。

不適切なSNSの利用

従業員が会社の所属などがわかる状態でSNSアカウントを運用している場合は、誹謗中傷や情報漏洩と思われる投稿をしてしまうとコンプライアンス違反になる可能性があります。

SNSについては、インターネットの普及とともに利用方法についても問題が多く出てきているため、ガイドラインの作成や研修の実施などコンプライアンスの意識を高める取り組みが求められています。

サービス残業

労働基準法第三十六条(サブロク協定)では時間外労働について、月45時間、年間360時間という上限が定められています。

上限時間を超えてしまいそうな場合に勤怠を切って残業するサービス残業が常態化しているとコンプライアンス違反になる可能性があります。

マネジメント層が従業員の業務をコントロールしながら人員の調整を行い、従業員も業務が溢れている場合は上司に相談するような仕組みを作るなどの対策が必要です。

コンプライアンス違反が起こる原因

コンプライアンス違反が起こりやすい状況やタイミングなどの要因について、以下の3つを紹介します。

コンプライアンス違反が起こる原因
  • 不正が起こりやすい環境がそろう
  • 法令に関する知識の浅さ
  • モラル・規範意識の欠如

それぞれ詳しく解説します。

不正が起こりやすい環境がそろう

コンプライアンス違反が起きる1つ目の原因は、動機・正当化・機会の3つがそろい、「不正のトライアングル」が発生することです。

日々の業務でプレッシャーを感じると、状況を改善したいという気持ちが不正を行う「動機」となります。また、その動機を正当化するために「他の人もやっているから」、「どうしても数字を出さないといけなかったから」など「正当化」する理由を見つけようとします。

ここに、実際に不正を行う「機会」が訪れることでコンプライアンス違反を犯してしまう可能性が高まります。これを不正のトライアングルと言います。

3つの要素が揃うとコンプライアンス違反を犯す可能性が高くなるため、社内のルールの整備や取り締まりの強化を進めていく必要があります。

法令に関する知識の浅さ

法令に関する知識が不足していると、コンプライアンス違反が発生しやすくなります。

コンプライアンスとは、定義にもある通り法令を遵守することを指しますが、法令に関する理解が浅いと、何が正しく、何が違反に当たるのかを正確に把握できず、無意識のうちにコンプライアンス違反を引き起こすリスクが高まります。

全従業員がすべての法令を把握するのは難しいですが、ハラスメントや労務に関する知識については研修を実施するなど、重点的に対策を講じることが重要です。

モラル・規範意識の欠如

コンプライアンス違反に当たる事象のうち、顧客情報の持ち出しや不適切会計などは、「やってはいけないこと」というモラルや規範意識が足りていないことから起こる場合もあります。

例え法令に関する知識が浅い場合でも、道徳的に判断することでコンプライアンス違反を防げる場合もあります。

一般的なモラルや規範意識を持つことは不正の防止だけでなく、インターネットでの炎上を防ぐことにもつながるため、社内全体でモラル意識を向上させていく取り組みも必要です。

コンプライアンス違反が企業にもたらすリスク

法令に違反した場合、行政処分が下されるとともに企業の社会的信用も落ちる可能性があります。社会的信用が落ち企業のイメージが悪化すると、売り上げの低下や事業停止などに追い込まれかねません。

このように、コンプライアンス違反は経営に影響を及ぼすリスクがあります。

また、企業イメージ低下により求職希望者の減少や離職希望者の増加など、業務上必要な人員確保が困難になり、これまでの業務が立ち行かなくなる可能性もあります。

コンプライアンス違反を防ぐための対策

コンプライアンス違反が企業に与える影響は非常に大きいです。

コンプライアンス違反を事前に防ぐための対策として、以下の方法を紹介します。

コンプライアンス違反を防ぐための対策
  • コンプライアンス研修の実施
  • 社内の管理体制を整える
  • ルール・ガイドラインを制定する
  • 適切な監督と監視を行う

上記の4点について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

コンプライアンス研修の実施

従業員のコンプライアンスに関する意識を高めるために、社内研修を開催しましょう。

研修を通じて新たな知見を提供し、コンプライアンス違反が企業にどのような影響を与える可能性があるのかのリスク共有を行うことでコンプライアンス意識を従業員に浸透させることが大切です。

社内での実施が難しい場合は、外部の専門家を招いて研修を行なったり、eラーニングを活用したりするなど別の方法を検討する必要があります。

社内の管理体制を整える

コンプライアンス違反を防止するためには、社内の管理体制を整えることも欠かせません。

問題が発生した際に迅速に対応できる窓口を設置し、責任の所在を明確にしておくことが重要です。また、従業員からの相談や報告に対しては、第三者の視点を取り入れる仕組みを整えることで、公正な対応が期待できます。

さらに、定期的に人事面談を実施し、社員一人ひとりのメンタルヘルスをケアすることも大切な取り組みです。

ルール・ガイドラインを制定する

コンプライアンス違反を防ぐためには、社内でマニュアルやルールを整備し、明確なガイドラインやポリシーを策定・浸透させることが重要です。

まず、コンプライアンス違反につながる可能性があるリスクを洗い出し、課題を明確化しましょう。そのリスクを社内マニュアルに反映させ、従業員に徹底的に周知することで、違反を未然に防ぐことができます。

さらに、情報の持ち出しなど、上司の目が届きにくい場所で発生する違反も考慮し、従業員一人ひとりに焦点を当てた対策を講じることも重要です。

明確な行動規範があることで判断の基準が設けられる点がメリットです。

適切な監督と監視を行う

コンプライアンスを維持するためには、適切な監視システムを設定し、部署や役職といった狭い範囲での判断に頼りすぎないことが大切です。必要に応じて、第三者委員会や監査部門を設置し、公平かつ公正な判断を下せる仕組みを整えましょう。

ただし、監視体制が過度に強化されると、従業員の反発を招き、規制をすり抜けた不正が発生するリスクもあります。

こうした社内の衝突を避けるためには、従業員が負担を感じることなく、迅速かつ簡単に報告できる体制を整えることも重要です。

専門の運用代行会社やコンサルティング会社を選定し、連携することも社内に体制が整っていない場合は有効です。このWebコンサルティングに関してはIT業界情報サイト『サクフリブログ』の「Webコンサルティング」に選定のための情報があるので、参考にすると良いでしょう。

コンプライアンス違反が起こった場合の対処法

対策をした上でもコンプライアンス違反が起こる可能性はあります。

実際にコンプライアンス上の問題が発生してしまった際の対処法を紹介します。

コンプライアンス違反が起こった場合の対処法
  • 状況を早急に把握する
  • 弁護士などの専門家に相談する

上記について詳しく見ていきましょう。

状況を早急に把握する

事前に管理体制を整えている場合は、発生後の業務フローにしたがって、発生原因等を早期に特定しましょう。

社内の通報窓口を設置し情報収集を行いつつ、事前に設置した専門部署に迅速に対応してもらうなどの体制を整えておく必要があります。

コンプライアンス違反を犯した場合は初動が重要になるため、早期に発見し対応するために、監視ツールの導入や管理体制の構築が重要になります。

弁護士などの専門家に相談する

実際にコンプライアンス違反があった場合には、法律の専門家である弁護士に相談し適切な対応策をアドバイスしてもらって対応する方法もあります。

影響が広範囲に及ぶなど、場合によっては、顧客への謝罪、示談や裁判の準備、報道や関係者などへの報告などを行う必要があります。

ネット上のコンプライアンス違反の防止なら、SNSモニタリングツール「Mimamorn」

コンプライアンス違反となる事例には様々ありますが、その中の一つにSNSの不適切利用によるコンプライアンス違反があります。

SNSは利用者が多く拡散力も高いため、一度不適切な投稿がされると瞬く間に拡散されてしまいます。SNSでのコンプライアンス違反を監視し、違反があった際には早急に発見・対応するためにも監視ツールを導入し、モニタリングしておくことが大切です。

「ミマモルン -Mimamorn-」は、誹謗中傷の拡散や情報漏洩などのコンプライアンス違反に関連するトラブルを未然に防ぐモニタリングサービスです。

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