最終更新日 2024.11.1
多様性が叫ばれる現在において注目を集めている「ポリコレ」とは、差別や偏見を含まない中立的な表現を用いることを指します。
世界的に多様性を尊重する傾向が高まっており、企業経営においてもポリコレの概念を認識、対策しておくことが非常に重要です。
この記事では、ポリコレの概念や歴史、社会的に求められる背景や具体例、企業がポリコレ対策として実施すべき内容を紹介します。
なお、差別や偏見を含むSNS投稿を未然に防ぎたい方は、自動で検知できるWEB監視ツールをご検討ください。
ポリコレとは
ポリコレとは「ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness)」の略称で、特定の人物やグループに対して不快感や不利益を与えないように配慮する行為を指します。
これは、人種、宗教、性別、見た目、年齢などの要素において、差別や偏見を含まない中立的で公平な表現を用いることを目的としています。
ポリコレの語源と定義
ポリコレの語源は「Political Correctness」で、日本語に訳すと「政治的な妥当性」や「政治的な正しさ」となります。
現代では、この概念は政治分野に限らず、人種、性別、国籍、宗教、年齢、障がいなど、幅広い領域で使用されています。
ポリコレの歴史
海外でのポリコレの発祥は、1900年代のアメリカです。
人権意識の高まりにより、白人とマイノリティとの衝突が大きくなったことをきっかけに、白人主義からの脱出やフェミニズムの活発化などが起きたことが発祥の背景にあります。次第に民族や人種、性別、宗教などが原因となる差別を防ぐため、ポリコレの概念が広く浸透するようになりました。
一方、日本でポリコレが注目され始めたのは、2010年頃からとされています。
インターネットの発達とともに、ネット上でマイノリィに対する偏見や差別を助長する表現が見られ、批判を集めるようになったことが広まりのきっかけとされています。
ポリコレが求められる背景
ポリコレが求められる背景には、国連が掲げる目標が関連しています。
国連は、持続可能な社会を築くための17の目標「SDGs」を掲げています。SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている国際目標です。
この中に、ジェンダー平等や、パートナーシップ制度の制定などポリコレと関連するような特定の人への不利益を与えないための目標が制定されています。
SDGsは発展途上国、先進国ともに取り組むべき普遍的な目標であるため、世界的に重要視されています。
ポリコレが浸透することによって、性差別的な表現や制度、無意識の偏見が社会的に是正される効果が期待できるため、SDGsで設定されている目標を達成するための一つの手段として考えられます。
また、ポリコレによって、多様性が尊重されることでイノベーション促進につながる可能性もあることが期待されており、企業の価値向上や社会的信用の醸成を目的としてポリコレが求められる傾向もあります。
ポリコレの具体的な例
ポリコレとは具体的にどのような表現を指すのでしょうか。
ポリコレの具体的な例として、項目別に言い換え表現を紹介します。
人種差別
人種についてのポリコレとして、アメリカ先住民はかつて「インディアン」と呼ばれていましたが、蔑称であるとの理由から、現在では「ネイティブアメリカン」と呼ばれるようになりました。
また、以前は「黒人(ブラック)」と呼ばれていた場合でも、侮辱的な意味を含むため、現在では「アフリカ系アメリカ人」といった表現に変化しています。
性別ごとの職業の呼び方
性別に関する表現のなかでも職業の名称はポリコレの影響を大きく受けており、かつては男性・女性を分けている呼称が多かったものの、現在では共通で使えるものに変更されています。
その例を紹介します。
また、服装に関しても、例えば学生など学校で規定の制服がある場合、男性はズボン、女性はスカートが昔は多かったものの、現在では制服を選択できる学校が増加しています。
さらに、性的嗜好に関してもポリコレがあります。例えば、アンケートや履歴書などに見られる性別の記入欄は、従来、「男性」「女性」の2択だったものの、現在ではLGBTQ+を配慮し、「その他」や「無回答」という項目が設定されるようになりました。
障害や病気の表現
従来は障がい者の「がい」に、悪影響を及ぼすという意味の「害」や邪魔する・さまたげるなどの意味がある「碍」が利用されていました。
これが、差別的な印象を受けるなどの理由で「障がい者」と表現される傾向があります。
また、同様の理由で「痴呆症」から「認知症」、「精神分裂病」から「統合失調症」など、病名が変更されています。
企業がポリコレを意識すべき理由とメリット
企業がポリコレを意識した経営、環境づくりを行うことで得られるメリットがいくつかあります。
ポリコレを意識する理由や得られるメリットとして、以下の4つを紹介します。
それぞれ詳しく解説します。
SNSでの炎上防止につながる
社会的にポリコレに対する意識が高まっているため、SNSでの炎上リスクも上がっています。
企業においては公式アカウントでの発信内容がきっかけで、ポリコレの観点から炎上につながる可能性も高いです。SNSは情報拡散のスピードが速いため、炎上しやすいだけでなく、不買運動などの売り上げに直結する影響を受ける可能性もあります。
そのため、企業のプロモーションや経営陣による発言内容には注意が必要です。
企業がポリコレを意識することで、マーケティング内容もポリコレに対応したものとなり、炎上リスクを回避するための対策の一つとなります。
ステークホルダーからの信頼獲得につながる
ポリコレを意識した経営を行うことで、ステークホルダーからの信頼維持・向上が期待できます。
ポリコレへの社会的関心が高まっていることやインターネットの普及により炎上しやすい環境になっていることから、ポリコレが意識されていることで評価が高まります。
反対に、ポリコレに関する表現で問題発言などが広がってしまうと信頼を失うことになりかねません。
また、ポリコレには社会課題が関わっているため、意識の高さを示すことで、消費者や投資家などからの印象がよくなり、企業のブランド価値向上や業績向上につながる可能性があります。
従業員が働きやすくなる
ポリコレとは多様な考えや特性を中立的に判断し、受け入れることであるため、企業がポリコレを意識することにより、従業員間での差別や偏見の抑制にも役立ちます。
マイノリティの人であっても、心理的安全を確保しながら不安を感じずに働くことができ、従業員のモチベーションや生産性向上が期待できるでしょう。
ダイバーシティを促進できる
ポリコレを意識することで、マイノリティの人も働きやすい環境づくりができ、多様な人材創出につながります。
多様な人材が集まれば、視点や感性が異なる様々な意見やアイディアが生まれる環境になるため、コミュニケーションや意見交換が活発になり、イノベーションの創出につながる可能性があります。
企業が実施できる具体的なポリコレ対策
企業が実施できるポリコレ対策として以下の4つの対策を紹介します。
各対策について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
社内制度の平等な設計
ポリコレ対策として、性別や宗教、年齢に考慮した人事評価制度や福利厚生を設計する必要があります。
例えば、性別に関わらず育児休暇を取得できるような制度や、宗教的な理由による休暇への配慮などがあります。
研修を実施する
研修の実施もポリコレ対策の一つとなります。
ハラスメントやSNSでの発言などに関する研修を行い、基本的な知識の共有や実際に起きた場合に企業が直面するリスクを共有することでポリコレ対策を実施することができます。
ハラスメントには、セクシャルハラスメントやパワーハラスメント、ジェンダーハラスメントなどさまざまな種類があります。
これらのハラスメントに関する研修や実務におけるチェックを行うことで、ポリコレに反するリスクを軽減できます。
また、SNS研修などを行い、運用面における炎上リスクや対策について共有する必要があります。SNSは拡散力が高く利用者数も多いため、炎上するとすぐに拡散されてしまいます。
炎上により、社会的信用の低下や売り上げ減少などのリスクもあるため、SNSガイドラインやポリシーを策定し、社内に浸透させていくことが重要です。
求人募集の文言や採用面接での発言に注意する
求人募集の文言にポリコレに反する表現がないか注意しましょう。
性別を限定するような表現や服装の規定はポリコレに反する可能性があるため避ける必要があります。また、性別の回答に関しても、記入欄を設けない、または無回答の選択肢を設けるなどの対策が必要です。
採用面接時もポリコレに反する質問はしないよう注意するようにしましょう。例えば、出生や家族構成、性的指向、宗教などに関する質問はしない方が良いです。
SNSの監視を強化する
SNSでの炎上を未然に防ぎ、万が一発生してしまった場合でも早期発見・早期解決に繋げるために、SNS監視を強化する必要があります。
日頃からSNS監視を行うことで、炎上リスクの軽減され、さらにポリコレに対する世間の感覚や基準の把握にもつながります。
SNSの膨大な情報を全て人力で監視することは難しいため、ツールの導入や代行業者への外注などを選択肢に入れると良いです。
ネット風評被害の防止ならSNSモニタリングツール「Mimamorn」
社会的な変化や時代の流れからポリコレに関する関心は年々高まっています。
ポリコレを意識することで、企業はステークホルダーからの信頼向上や企業価値の向上が期待できますし、多様性が促進されることでイノベーションが起きやすくなるなどのメリットがあります。
一方で、ポリコレ対策ができていないと、SNSの発信内容や経営者の発言などから炎上につながる可能性があります。炎上を防ぐためにも、事前に研修などで社員の意識を高めるほか、ツールを導入してSNSを監視しておくことが重要です。
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