最終更新日 2024.10.7
以前から誤情報が拡散されることにより企業が風評被害を受ける事例は多数ありましたが、インターネットの普及により多くの人がSNSやサイトを利用するようになった現代では、さらにネット上などで風評被害が発生しやすくなっています。
一度発信された情報は拡散されやすく、事実無根の情報により企業は売り上げ低下やブランドイメージの毀損など大きな被害を受ける可能性があります。
自社が風評被害に遭わず、被害を受けた際に影響を最小限に抑えるためにも、これまでの実例を知り、事前に対策することが重要になります。
この記事では、風評被害の実例や風評被害が起こる原因と対策について紹介します。
風評被害の事例
インターネットの普及により利用者は増加しており、個人が気軽に情報発信できるようになったことから、ネットでの風評被害も増加しています。
実際に発生した風評被害にはどのようなものがあるのでしょうか。風評被害の実例について紹介します。
1. 従業員の不祥事による事例
アルバイト従業員によるいわゆる「バイトテロ」が各飲食チェーン店などで発生しています。店舗の商品や食材を不適切に扱ったり、食品の不衛生な状況にしたりする動画を投稿する事例が多発しています。
事件のあった企業では、店舗の休業やチェーン店全体の来客数減少、株価の低下など様々な被害を受けました。
2. 某食品メーカーの事例
ある食品メーカーで起こった風評被害の事例です。メーカーの主力人気商品に虫が入っているという情報が拡散され、該当会社と同じ企業名の別会社が風評被害を受けました。
大騒動になる前に食品メーカーとは別会社であることをお知らせとして掲載する対応を取りました。
3. コロナ禍における事例
新型コロナウイルスの拡大により、「コロナ」が企業名に入っている企業が風評被害を受けました。
企業Aでは、新型コロナウイルス流行後の一カ月で売り上げが数百億単位で減少しました。
企業Bでは、社名についてホームページへの書き込みが発生しました。新聞広告を出し、ウイルスとは無関係であること、企業は健在であることを自社から発信する対応をとりました。
4. アサリ産地偽装問題による事例
外国産の輸入アサリが、日本産であると偽って販売されていたことが発覚した影響で、本当に日本産のハマグリである商品の入札が中止になり、大量の返品が発生しました。
ハマグリの旬の時期であったこともあり、被害を受けた業者の売上は大損失となりました。
5. 東日本大震災時の石油会社の事例
東日本大震災時に、地震による石油会社での火災が原因で健康を害する物質が発生しているというデマが拡散されました。
震災により、精油所が燃えている映像がメディアで報道されていたことがデマの原因となり、該当企業が風評被害を受けました。
6. 原子力発電所事故による福島県産の食品の事例
東日本大震災による福島第一原発の事故をきっかけに、福島県産の農産物が風評被害を受けています。
本来は安全基準をクリアしている農産物でも風評被害により購入されない時期が長く続きました。
7. アメリカの飲食チェーン店の事例
アメリカの飲食チェーン店で、提供商品に店員の指が入っていたというデマが拡散されました。
実際には投稿者の知人の指であったことが判明しましたが、異物混入騒ぎとして風評被害を受け、売り上げ減少の被害を受けました。
8. 銀行の倒産情報のデマに関する事例
銀行の倒産に関する噂やデマによる倒産危機も風評被害の一つです。
ある人が、他の人から聞いた「〇〇銀行が潰れるらしい」という噂を友人にメールで伝えたことで、誤情報が拡散され、総額数百億円の預金が引き出されたり、解約されたりする事態に発展しました。
銀行は記者会見を開いて噂を否定し、財務支局も同様に噂を否定するコメントを出したことで事態は収束しました。
9. 食中毒に関する事例
1996年、病原性大腸菌O157による食中毒で多くの被害者が出た際に、その原因とされたのが「カイワレ大根」でした。
しかし、これは誤認であり、調査結果が間違っていたことが後に判明。結果的に風評被害を受けたカイワレ大根農家は、国を相手に損害賠償を請求して勝訴しています。
10. ブラック企業情報拡散の事例
匿名で投稿できるインターネット掲示板で、「〇〇はブラック企業だ」という内容の投稿が発信されました。
その投稿をきっかけに該当企業についての論争がネット上で激化・炎上し、最終的には裁判にまで持ち込まれました。
風評被害が起こる原因
SNSなどが普及し、自分自身のアカウントを匿名で持つことができるプラットフォームが増加したことから、悪意のあるコメントやデマの発信が増加しています。
また、実際に起こった事件や事故に関する情報が不特定多数発信されることで風評被害が拡大したり、メディアに取り上げられることで風評被害が起こる場合などがあります。
上記を含めて、主な要因は以下の通りです。
風評被害が起こる原因
- 個人的なデマ情報の発信
- 事件や事故
- マスメディアなど影響力のあるメディアの発信
ここから、それぞれの原因について詳しく解説します。
個人的なデマ情報の発信
インターネットが普及し誰でもSNSから情報を発信できるようになった現代では、個人のデマに基づく風評被害が発生しやすくなっています。
特にSNSは拡散力が高く、リアルタイム性があるため、個人が投稿した情報が虚偽であったり悪意あるものであったりしても、瞬く間に拡散され事実として受け取られることで、被害を受けるケースが多いです。
事件や事故
風評被害の原因の中でも、最も被害が大きくなる傾向にあるのが、事件や事故に基づく風評被害です。代表的な事例としては、東日本大震災に関連する風評被害が挙げられます。
大規模な事件や事故に基づく風評被害は、自社だけで解決できないことが多いため、他社や自治体、社会を巻き込んでの対応が求められます。
マスメディアなど影響力のあるメディアの発信
マスメディアなどの影響力あるメディアから発信された情報に基づき風評被害が発生・拡大することがあります。特にテレビなどのメディアから発信される情報は無条件に事実であると信じられやすい傾向にあるため、風評被害が拡大しやすいです。
また、メディアが発信した意図を誤解して受け取ることで誤った情報として拡散され、風評被害が発生・拡大する可能性もあります。
ネットの風評被害によって企業が受ける影響
ネットでの風評被害が拡大すると、企業は事業継続や経営で大きな影響を受ける可能性があります。
事実ではない情報であったとしても風評被害が広がると、社会的な信用が低下したり、企業ブランドイメージが低下したりすることで、既存の取引先や新規顧客の獲得が難しくなります。
また、売上の減少や採用活動の難航などの影響を受ける可能性もあります。
上記を含めて、主に以下のような影響がありえます。
ネットの風評被害によって企業が受ける影響
- 社会的信用の低下による新規・既存顧客の減少
- ブランドイメージの低下
- 売り上げ減少
- 採用活動の難航・離職の増加
ここから、それぞれについて詳しく解説します。
社会的信用の低下による新規・既存顧客の減少
社会的信用とは、企業が社会から受ける信頼や評価のことを指します。ネット上での風評被害が広がると、その企業に対する信頼が失われます。
社会的信用が低下することにより、実際には事実と異なる情報であっても自社の事業に影響が出ることを懸念した取引先との契約が解除されたり、新規で取引を開始する件数が減少したりする可能性があります。
また、金融機関からの融資を受けにくくなるといった影響も考えられます。
風評被害による社会的信用の低下により、企業の事業継続や事業成長が難しくなるため、早期に信頼回復への対策を打つ必要があります。
ブランドイメージの低下
ブランドイメージとは、消費者がその企業や製品に対して抱くイメージや感情のことを指します。
風評被害によってネガティブなブランドイメージが広まると、ブランド全体の価値が低下してしまう可能性があります。一度ブランドイメージが低下してしまうと回復させるのには時間がかかります。
また、ブランドイメージの低下により、消費者の購買意欲が低下したり不買運動が起こったりする可能性もあります。このことから、既存顧客が競合他社へ流出したり新規顧客の獲得が困難になるという影響が考えられます。
売り上げ減少
売り上げは、風評被害の直接的な影響を受けやすい要素です。
誤情報の拡散により、企業やブランド・商品に対してネガティブなイメージを持つ消費者が増えると消費行動が抑制され売り上げが減少する可能性があります。
企業の収益が減少することにより、事業継続や成長が難しくなるだけでなく、社員に給与として還元できなくなるといった影響も考えられます。
短期的には売り上げの減少、長期間に及ぶと顧客の減少につながる可能性もあるため、風評被害の解決やブランドイメージの回復により、売り上げを回復させていく必要があります。
採用活動の難航・離職の増加
風評被害により広まった誤情報を信じる人が増えると、求職者が減り採用活動にも影響を及ぼす可能性があります。風評被害により新規での応募者が減少したり、すでに内定を出していた人も辞退される可能性もあります。
また、従業員についても風評被害によりモチベーションが低下したり将来に対する不安を感じたりすることで離職が増加する場合もあります。
採用活動の難航や離職の増加が起こると、企業は必要な人材を確保することができないため、人材不足に陥り、事業運営に支障が出る恐れがあります。
風評被害を未然に防ぐ防止策
ネットでの風評被害は一度拡大すると事態を収集させるのには時間がかかります。風評被害のリスクを軽減するためにも、ネットのモニタリングやガイドラインの整備など事前の対策が重要になります。
主な防止策は以下となります。
風評被害を未然に防ぐ防止策
- モニタリング体制の整備を行う
- SNS等のソーシャルメディアポリシーを策定する
- 従業員やアルバイト、関係先への教育を行う
- 風評被害にあった場合のガイドラインの策定を行う
ここから、それぞれについて詳しく解説します。
関連記事:SNS炎上の原因と防止策とは?発生時の対処方法も紹介
モニタリング体制の整備を行う
ネット上のコメントなどのモニタリングサービスを利用し、モニタリング体制を整えることが重要です。
モニタリングサービスとは、企業に関するオンライン上でのコメントや評価、口コミをリアルタイムで監視するツールです。
SNS、ブログ、ニュースサイト、口コミサイトなど様々なプラットフォームの状況を監視することができるため、コメントや投稿に変化があった場合にはリアルタイムで知ることができます。
企業名や製品名、ブランド名などモニタリングしたい特定のキーワードを設定し、それに関する新しい投稿や記事が出現した際に通知する機能があるため、ネガティブな情報が拡散する前に早期発見できるようになります。
SNS等のソーシャルメディアポリシーを策定する
ソーシャルメディアポリシーとは、企業や従業員がSNSを利用する際のガイドラインを定めたものです。
ソーシャルメディアポリシーには、発信内容や顧客対応方法、ネガティブなコメントへの対応方法などが含まれます。ガイドラインを事前に定めておくことで、従業員からの誤った情報発信や不適切な対応を防止することができます。
また、実際に不適切な発信があった場合でも対応方法が定められていることで早期に動き出すことができ、企業や従業員が発信した内容が元となる風評被害のリスクを軽減することができます。
従業員やアルバイト、関係先への教育を行う
従業員への教育も対策の一つとなります。
風評被害のリスクや防止策について、従業員やアルバイト、取引先に対して定期的な教育・研修を実施します。ソーシャルメディアポリシーなどを策定しても従業員がその内容について理解していないと意味がありません。
具体的な研修内容としては、ネット上で情報発信をする際のリスクや個人情報・企業秘密の取り扱い方、風評被害が発生した場合の対応方法、事例紹介などが挙げられます。
従業員や関係者のネット上での発言や行動に対する意識を高めることで、不適切な情報発信や行動を未然に防ぐことが期待されます。
風評被害にあった場合のガイドラインの策定を行う
実際に風評被害に遭ってしまった場合に、早期に対応を開始できるよう事前にガイドラインを定めておきます。
風評被害が起きないようリスクを軽減するための対策をとっていても、ネットが普及した現代では絶対に風評被害が起きないとは限りません。
風評被害が発生した際に、どのような対応をするのかを事前に定めておくことで、冷静に対処でき、被害を最小限に抑えることができます。
風評被害発生後にどのようなことが問題となり、どのように対処すべきかといったガイドラインの具体的な内容を自社のみで作成するのは難しいため、専門家などの協力を得ながら作成することが重要です。
風評被害を受けた際の対策
事前に対策をしていても、ネットが普及し様々な情報が発信されている現代では、何がきっかけで風評被害が起こるかわかりません。
風評被害を受けてしまった場合に、被害を最小限に抑えるためにも、ネット上での対策や法的措置のための対応などを検討する必要があります。
風評被害を受けた際に実施すべき主な対策は、以下の通りです。
風評被害を受けた際の対策
- 逆SEO対策/サジェスト削除会社に相談する
- 警察・弁護士に相談
ここから、それぞれについて詳しく解説します。
関連記事:風評被害対策とは?原因や想定される被害、実際の事例を解説
逆SEO対策/サジェスト削除会社に相談する
逆SEOとは、検索エンジンの検索結果からネガティブな情報を目立たなくするための対策を指します。
専門の会社に対策を行ってもらうことで、ポジティブな情報や中立な情報を目立つように修正し、ネガティブな情報を検索結果の下位に下げることができます。
ネガティブサイトが検索結果に表示されにくくなることで、消費者や取引先が検索した際に誤情報に触れる機会を減少させることができ、現状以上の風評被害の拡大を防ぐことが可能です。
警察・弁護士に相談
警察や弁護士に相談することで風評被害に法的に対応することが可能です。
警察には、事故や犯罪に至っていなくても困っていることや不安に思うことがある場合に相談できる窓口として、警察相談用電話「#9110」があります。相談内容に応じて関連のある部署に対応してもらいます。
犯罪行為にあたる悪質な行為が証拠としてある場合には、被害届の提出や告訴などを対応として検討することができます。
また、弁護士に相談することで、名誉毀損やプライバシー侵害に対する法的措置の検討を含めて、投稿の削除依頼や投稿者の情報開示請求対応を進めてもらうことができます。
まとめ:風評被害の事例を知り、リスクの防止・対策を実施しよう
風評被害は一度拡大してしまうと社会的信用の低下やブランドイメージの低下、売り上げの減少など企業の事業運営に大きな影響を及ぼします。
風評被害を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えるためには、これまでの風評被害の実例を把握し、事前の対策や被害にあった際の対応策を知っておくことが重要です。
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