最終更新日 2024.10.7
企業活動を継続する上で、誹謗中傷を完全に避けるのは難しいものです。いくら清廉潔白で、法律を遵守した経営ができているとしても、反感をもってしまう人は存在するものだからです。
ネット上においては、匿名でだれでも自由に意見を発信できることから、心無い言葉を直接向けてくる人もいます。本記事では、そういった誹謗中傷から被害を受けるリスクを抑える方法を解説します。
ネット上の風評被害とは? 事例と影響も紹介
そもそも風評被害とは、どのような事象を指す言葉なのでしょうか。
事実が悪評として広まってしまい、結果として被害を受ける場合は風評被害とは呼ばれません。根拠のない噂や憶測などを元にした事実無根の情報が、誤りを訂正されないまま広まってしまった結果、生じてしまう被害を指す言葉が風評被害です。
風評被害が発生してしまうと、企業のイメージダウンや売上低下の原因となったり、取引先などの顧客離れを起こしてしまったりすることが考えられます。ほかには、株主からの追求および批判を受けることもありえますし、その結果、株価が下落してしまうことも考えられます。また、求人への応募が極端に減ってしまい、人材雇用が難航する、採用する際のコストが増加する、といったことなどがあり、風評被害の影響力はきわめて大きいものといえるでしょう。
風評被害は新聞やテレビなどのマスメディアが主流だった時代から存在する被害ではありますが、インターネットが普及した現代においては、個人が簡単に情報発信できるようになったことが大きな変化を与えています。こういった風評被害の言説は一度広まってしまえば何度削除してもWeb上に残り続け、将来においても悪い影響が出続けてしまうということも考えられます。
ここで、過去に実際にあった風評被害の事例を以下に挙げます。些細なことが理由で大きな被害に発展したものもあるため、歴史から学び、被害を回避したいものです。
新型コロナウィルス感染症に関する事例
特定の飲食店を利用していた客の中から新型コロナウィルス感染症の陽性者が出たという、事実と異なる噂が広まった事例です。これにより、客足が遠のいただけでなく、営業していることに対する抗議の電話や嫌がらせを受けて、営業を続けることが困難になってしまいました。
同姓同名であったことから被害を受けた事例
企業の取締役と同姓同名の他人が犯罪者として報道され、犯罪者が経営している企業だとしてネット上で話題にされてしまった事例です。
事実確認が十分になされないまま、まとめサイトなどで記事になりました。
企業は該当する犯罪者とは一切関係がないことを発表しましたが、結果として広まってしまった風評が企業のブランドイメージを大きく損ねてしまいました。
ねつ造された画像で被害を受けた事例
ある商店で購入した食品に異物が混入していたとSNSに写真をアップロードした者がおり、大きな批判が寄せられた。だが企業の担当者が調査したところ、写真はアップロード者のねつ造であったことが判明した事例です。企業のブランドイメージを損ねたとして訴訟沙汰に発展しています。
このように、本当に根も葉もない噂や誹謗中傷、大勢の中の1人がもたらす小さな悪意によって企業が大きな被害を受けることは珍しくありません。自社には縁のないことと楽観視せずに、風評被害への備えを日頃からしておく必要があります。
風評被害対策の種類・効果・費用
風評被害を防止する上で、具体的にどのような対策が有効なのでしょうか。ここでは、大まかに分けて5つの対策を紹介します。それぞれにどのような効果が期待できるのか、どれほどの費用がかかるのかについても解説します。
1.リスクを減らすためのルールを定める
法律上および社会通念上、間違ったことはしていないにも関わらず、少しの気の緩みからSNSなどを通じ誤った情報が広まってしまい、風評被害につながるケースは珍しくありません。これを防ぐためには、従業員や法人がSNSを適切に利用するためのガイドラインを策定することが有効です。
これはプライベートを含めた全ての場面において、従業員がどのようにSNSを活用していくべきなのかを示す指標になります。同様に、企業の公式SNSアカウントの運用担当者向けに、守るべき内容を定めた公式SNS運用ガイドラインも定めておくと良いでしょう。
しかし、ガイドラインの策定だけでは風評被害の防止という観点において万全の体制を築けたとはいえません。新入社員・管理職・アルバイトなど、組織に属する者全てがSNS教育を定期的に受ける必要があります。それぞれの立場に向けて、ガイドラインに沿ったルールを浸透させることを意識した教育プログラムを準備しておきましょう。
2.風評被害につながる投稿を監視する
SNSや匿名掲示板での風評被害は、一度広まってしまうと対処が非常に難しくなります。投稿を削除しても情報の拡散度合いは増加する一方となり、対応が後手に回ってしまい被害が抑えられなくなってしまいます。
これを防ぐためには、風評被害につながりそうなインターネット上の投稿を早期に発見することが重要です。これは専門的な知識やツールがないと難しいため、外部の専門業者に依頼されることがほとんどです。
依頼を受けた業者は、SNSなどを巡回してモニタリングし、風評被害のリスクがある投稿をリストアップします。
危険な情報が拡散してしまう前に、すみやかに対応することで風評被害の芽を摘むことが可能になります。
また、予期せぬ情報や嘘の発信を検知し、通知することで、今後の対策として活用できます。
依頼料の相場は、業者や案件の難度にもよりますが月額1~15万円ほどです。
エフェクチュアルが提供している投稿監視サービス「ミマモルン-Mimamorn」では、風評被害を予防するだけでなく、SNSでの誹謗中傷、内部からの情報漏えいなどを含むネット炎上全般から企業活動を防衛できます。
炎上リスクが想定されるキーワードを24時間365日監視し、ネット上の風評被害の兆候を見逃しません。
さらに、ネット上における企業の評価をネガティブなものとポジティブなもの双方を月単位で取得し、レポートを作成してくれます。店舗や企業のブランドステータスを可視化することで、自己評価が適切に行えるようになります。
ミマモルンのWebリスク解決実績は今までで700社以上もあります。利用料金は月額50,000円からとなっています。
サービスの紹介ページはこちらです。
3.風評被害の書き込みなどを削除する
インターネット上で風評被害を起こしうる書き込み等を発見したら、すみやかに削除対応することで被害を未然に防げます。
SNSや匿名掲示板の書き込みを削除する場合は、管理者に削除要求を出し、申請が承認されれば削除されます。
ただし、インターネット上での風評被害を防ぐ上で、ほかにも気をつけなければならない重要なポイントがあります。それは検索エンジンのサジェスト機能です。
サジェストとは、単語を検索しようとした際に関連するキーワードが自動で補完される機能のことで、日常で検索エンジンを利用する際には便利なものですが、これが風評被害の原因になってしまう場合もあります。
たとえば○○という企業のことを調べようとした際に、「○○ ブラック」「○○ 離職率」のようなワードがサジェストされてしまったらどうでしょうか。企業イメージが大きく損なわれますし、求人への応募にも悪い影響が出てしまうことでしょう。
こういった事態を避けるためには、検索エンジンのサジェストの削除請求が必要となります。ですが、専門的な知識がないと難しいものですし、手間と時間もかかります。また、個人で請求した場合にはなかなか対応してもらえない場合もあります。
自ら処置する以外の方法としては、弁護士に依頼するのも一つの手です。
弁護士に依頼した場合、日本のサイト管理者、もしくはサーバー会社等を相手とする任意削除請求は、1サイトあたり5万円ほどが費用相場です。削除の仮処分を求める場合は1申請あたり20万円ほどかかることが多いようです。
4.業者の逆SEO対策を利用する
「逆SEO」とは、その名の通りSEO対策(見られたいサイトの検索サイト上での順位を上位にするための対策)の逆を行うことを指します。リバースSEOと呼ばれることもあります。
自社に対して、ネガティブな内容を表示しているWebサイトの検索順位を落とすための手法で、基本的には、閲覧されても問題が起きないポジティブな内容が表示されるサイトの順位を押し上げることで、相対的に風評被害を起こしかねない内容のサイトの順位を下げる行為を指します。
ネガティブな内容が表示されているサイトは、多くの場合5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などの匿名掲示板、個人ブログ、口コミサイトなどであることがほとんどです。これらのサイトに投稿されているコメントがネガティブなもので、なおかつ社名が含まれているような場合には、それを目にしたユーザーはその会社に不信感を抱いてしまうでしょう。そのため、誹謗中傷のコメントを掲載しているサイトが検索結果に表示されていることを発見した場合、そのサイトを対象に逆SEOを行うことを検討しましょう。
とはいえ、検索エンジンのアルゴリズムは日々変動しており、逆SEOは技術的に難しい面もあります。
エフェクチュアルの「オンライン評判管理対策」のサービスを利用すれば、依頼者の情報発信の露出をより多くさせながら、抑制させたいネガティブな情報の表示頻度を減らし、理想の検索結果を実現するためのサポートが受けられます。エフェクチュアル独自の手法で、逆SEO対策を強力に推進します。サービスの詳細についてはこちらをご覧下さい。
5.素早く評判を回復する
風評被害が発生してしまった場合でも、慌てずに必要な措置を取ることで、企業のブランドイメージが受ける被害を最小限に抑えることが可能です。適切な情報発信を行い、風評被害の早期解消につとめましょう。
SNSなどを監視して風評被害のリスクを孕んだ投稿を発見した際には、まず、その情報が事実であるかどうかを確認します。また、その投稿に反応している人がどのような人なのかについても判断することが大切です。
発信されている内容を精査し、それが自社のビジネスに与える影響が大きいと判断された場合、最初に行うべきは、正確な情報をプレリリースや、SNSの公式アカウントなどで発信することであり、とても重要なステップです。公式からの一次ソースが発表されないと、憶測が憶測を呼び、気づいた時には手のつけられない規模で風評被害が発生してしまっている、といったことが今や珍しくありません。まずは正しい情報を当事者が発表すること、これが第一の対応となります。
情報の発信だけでは被害が収まらなかったり、批判や避難が集中して喧々諤々となったりしている状態のことを一般的に「炎上」と呼びますが、この炎上が予想される場合は、顧客に対する対応窓口を設置することや、記者を集めて謝罪会見を行うことまで視野に入れましょう。この際、台本づくりとリハーサルを丁寧に行い、極力ミスのないように心がけたいものです。この記者会見で失敗があると、かえって炎上を加速させてしまう結果になりかねません。
まとめ
企業への風評被害対策としてなによりも重要なのは事前の備え、予防策です。社内での対策・社員への教育を徹底しなければなりません。
また、万全な予防策を張っていても、風評被害を受けてしまうことはあります。もし被害を受けてしまった場合、最も重要なのは初動での迅速かつ適切な対応です。
ネガティブな情報というのは、想像以上に広まるのが早いものです。ほんの小さな、本当に根も葉もない噂であっても、対応が少しでも遅れれば、取り返しの付かない事態に発展してしまうことも珍しくありません。
自社には関係のないことと思わず、被害を受けるような事態が起こることを想定し、普段から対応策を用意しておきましょう。