最終更新日 2024.10.1
ネットやSNS上での誹謗中傷が社会的な問題となっていますが、どこからが誹謗中傷に該当するのか、誹謗中傷で罪に問われることはあるのかなどの疑問をもっている人も多いのではないでしょうか?
ネット、SNSの普及・発展によって、誹謗中傷はとても身近な問題となっています。企業、個人問わず被害を受けたり、思いがけず加害者になってしまう場合も珍しくありません。
この記事では誹謗中傷の意味、増加している背景、実際に逮捕にまで至った事例などを紹介しながら、企業における誹謗中傷の対策について解説していきます。
なお、誹謗中傷を事前に察知して予防したい方は、WEBモニタリングツールをご利用ください。
誹謗中傷とは
特定の人物や企業に対して侮辱、嫌がらせ、デマ情報を流すなどして名誉や人格を傷つける誹謗中傷。SNSや掲示板などで間接的かつ匿名で行われるケースが多いのも特徴です。
ここでは、今一度誹謗中傷の意味を整理し、批判との違いについて解説していきます。
誹謗中傷の意味
誹謗中傷は、他人を傷つけることを目的として根拠のない悪口や嘘を言う行為を指し、誹謗と中傷の2単語からなる言葉です。
誹謗は相手に対する悪口のことを指し、相手に対して「デブ」「ブス」などの暴言を吐くようなケースが該当します。中傷は根拠なく相手を悪く言う行為を指し、事実確認をしていないのに浮気をしている、偽装しているなどと発言、投稿し、相手の社会的評価を下げようとするケースが該当します。
インターネット上では、SNSや掲示板を通じて誹謗中傷が頻繁に行われ、名誉毀損罪や侮辱罪などの刑事責任に問われるケースもあります。誹謗中傷は、被害者の人権を侵害し、社会的な評価を損なうため、法律によって厳しく取り締まられています。
誹謗中傷と批判は違う
誹謗中傷と批判は似ているようで異なる概念です。
批判は事実に基づいた意見や評価を述べる行為であり、建設的な目的を持つことが多い点が特徴です。
一方、誹謗中傷は事実に基づかない悪意ある発言で、他者を傷つけることを目的としています。
ただし、当事者からすると自分の意見を主張する批判をしているつもりでも、相手側は誹謗中傷と捉えるケースもあります。誹謗中傷と批判は紙一重であり、明確な線引きが難しいため、いずれにしても慎重な発言、発信をするように注意が必要です。
誹謗中傷に該当するのはどこから?主に根拠の有無で判断
どこからが誹謗中傷に該当するのかという線引きは難しいですが、「発言に根拠があるか」「相手を傷つけたか」という点が基準になります。
根拠のない悪口、文句、嘘、噂などによって相手を傷つけた場合は誹謗中傷に該当する可能性が高いと言えるでしょう。
誹謗中傷に該当する具体例は以下のとおりです。
- SNSにいわれのない悪口を書き込まれている
- 掲示板に個人情報を晒されている
法律的には、誹謗中傷が犯罪行為に該当するかどうかは個別のケースをそれぞれ判断する必要がありますが、根拠のない攻撃的な発言は避けるべきです。
「みんなやっているから」「匿名だからバレないだろう」という軽率な気持ちで誹謗中傷を行うと、最悪の場合逮捕され、罪に問われたり、損害賠償を請求されたりする場合があります。
被害者だけでなく、加害者側も多大な不利益を被る可能性がある点を理解しておきましょう。
誹謗中傷で問われる罪
発信した内容が誹謗中傷に該当する場合、名誉毀損罪、侮辱罪、業務妨害罪、信用毀損罪、脅迫罪などの罪に問われる場合があります。
何気なくした発言、発信が他人の心を深く傷つけたり、企業の信用を低下させたり大きな被害につながる場合があります。加害者側も罪に問われ、社会的な信用を失い、失職や経済的な困窮などの不利益を被る可能性があるため、注意が必要です。
それぞれの罪に該当する要件を確認しておきましょう。
名誉毀損罪
名誉毀損罪は、公然と事実を示して他人の名誉を傷つける行為を指します。
個人の抽象的な意見ではなく、公然性や具体性が必要で、他人の社会的評価を下げるに至った場合に罪に問われます。具体的には「会社の上司であるAさんは不倫をしている」などの言動が該当します。
ただし、ここでいう事実とは本当のことという意味ではなく、言動内容が嘘の内容であっても、具体的なものであれば要件を満たします。
名誉毀損罪に問われると刑法230条に基づき、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。ただし、親告罪であるため、被害者の告訴が必要です。
侮辱罪
侮辱罪は、名誉毀損罪と異なり、事実を示さずに他人を軽蔑する発言や行動をした場合に該当します。
事実ではなく、個人の主観で「デブ」「頭が悪い」などという言動が該当し、刑法231条に基づき、拘留または科料が科される可能性があります。侮辱罪も親告罪であり、被害者の告訴が必要です。
ただし、不利益を被ったことの証明が難しいため、逮捕に至る確率は低めです。
業務妨害罪、信用毀損罪
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した」場合に業務妨害罪、信用毀損罪に該当します。
業務妨害罪には、偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪があり、誹謗中傷の場合はどちらにも該当する可能性があります。信用毀損罪は、虚偽の情報を流布して他人の信用を損なう行為を指し、刑法233条に基づき3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
具体的には「A店は賞味期限切れの食材を使用している」「B店は食べ残しを盛りつけ直して別の客に提供している」などの嘘の情報を流す行為が該当します。
脅迫罪
脅迫罪は、他人に危害を加えることを告げて恐怖を与える行為を指します。
例えば、SNSのDMなどに「命を奪う」「家を燃やしてやる」などのメッセージを送る行為が該当します。
誹謗中傷の代表的な罪であり、刑法222条に基づき、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。脅迫罪は、相手が実際に恐怖を感じるかどうかに関わらず、危害を加えることを告知する行為自体が問題となります。
誹謗中傷が増加している原因と背景
誹謗中傷が増加している原因や背景には、SNSの普及が密接に関わっています。
SNS人口の増加、発信の手軽さなどにより誹謗中傷が常態化し、大きな社会的問題に発展しています。原因や背景について詳しく解説していきます。
SNS人口の増加
SNSの利用者数は年々増加しており、誹謗中傷の増加の大きな原因になっています。
日本国内ではLINE、YouTube、X(旧Twitter)などが特に多くのユーザーを抱えており、それぞれ数千万人規模の利用者がいます。利用者の増加に伴い、投稿へのコメントやDMの母数が増え、それに伴い誹謗中傷の件数も増加しています。
ユーザーの年齢、性別、人種なども多種多様であり、ユーザーが自身の偏見や固定観念に反する情報に触れる機会が増える点も誹謗中傷を生みやすい構造になっています。
SNSの手軽さ
SNSはスマートフォンを通じて手軽に利用でき、アカウントの作成から基本的な利用は無料で行えます。
誰もが簡単に発言を投稿できる環境が整っており、投稿内容へのコメントやDMなどで誹謗中傷が起こりやすくなっています。何気なく投稿した内容が人種や性別の違う人からすると誹謗中傷に感じられるケースもあり、手軽に投稿ができるからこそ投稿前には内容に問題がないかしっかり確認する必要があります。
また、炎上が起きると「みんなやっているから」という集団心理が働き、さらに過激なコメントが集まりやすいという傾向もあります。
SNSの匿名性の高さ
SNSの多くは匿名での利用が可能であり、「バレないだろう」という心理が働きます。
この匿名性の高さが誹謗中傷を行うハードルを下げており、対面では言えないような過激な発言をしてしまうケースがあります。
誹謗中傷を受けたと感じた被害者が発信者情報開示請求を行うと、氏名やIPアドレスなどの個人情報が特定され、罪に問われる可能性があるため注意が必要です。
対面で言える内容かどうかという基準で投稿内容をチェックするとよいでしょう。
誹謗中傷の事例
軽率な気持ちで行われた誹謗中傷が逮捕にまで至る大きな問題に発展するケースもあります。
特に企業においては誹謗中傷がSNSで拡散されることで、社会的な信用の損失や売上の低下など社会的、経済的に大きな打撃を受けるケースも珍しくありません。
逮捕に至った誹謗中傷の事例も紹介しますので、企業の誹謗中傷対策などの参考にもしてください。
【名誉毀損罪】女性研修医による誹謗中傷ビラ事件
2017年に大阪市内のトイレに知人男性を誹謗中傷する内容のビラを貼ったとして20代の女性研修医が逮捕されました。
ビラには男性の実名入りで「最低最悪の人間です。存在価値がありません」という内容が書かれていました。被害を受けた男性が被害届を出したことにより、警察の捜査が入り、名誉毀損罪で逮捕されています。さらに逮捕された女性研修医の顔写真や経歴がSNS上で拡散される事態に発展しました。
SNS上での誹謗中傷に注目が集まっていますが、手段を問わず相手の名誉を毀損する行為が逮捕に至る可能性があることが示された事例といえるでしょう。
【脅迫罪】アニメ監督殺害予告事件
2020年にアニメ監督に対し、ネット掲示板で「ナイフでメッタ刺しにして殺す」など殺害を仄めかす投稿を行い、脅迫をしたとして京都府に住む20代男性が逮捕されました。
アニメに出演する声優や家族に対しても同様の脅迫が同時期に相次ぎ、アニメの制作を中断せざるを得ない事態になりました。
男は脅迫罪のほか威力業務妨害の罪にも問われています。
【侮辱罪】テレビ出演者に対する誹謗中傷
2020年に人気テレビ番組に出演していた女性プロレスラーが番組内での言動に対する誹謗中傷を受けて自殺に追い込まれる事件が発生しました。
女性のSNSアカウントに対し「早く消えて」「吐き気がする」「きもい」など300件にのぼるコメントが殺到し、最悪の事態を招きました。
SNSプラットフォームへの投稿者情報開示請求により投稿を行った個人が特定され、侮辱容疑で書類送検されました。男性は「誹謗中傷が多く投稿されているのを見て自分も投稿した。申し訳なかった」と容疑を認めています。
集団心理が働き、軽い気持ちで行った投稿が1人の命を奪った最悪のケースといえます。SNS上の誹謗中傷が大きな社会問題として取り上げられるきっかけになった事件です。
【偽計業務妨害罪】中華料理店に対する嘘の投稿
2024年、外食チェーンのフランチャイズ店に「ナメクジが大量にいる」「寄生虫絶対やばい」などの嘘の情報をSNSに投稿し、店を一時休業に追い込んだとして男性が偽計業務妨害罪に問われました。
男性は過去に同外食チェーンで働いており、自ら開いた記者会見で「従業員として改善しようとしたが改善に結び付かなかったので告発した」などと述べています。
投稿をきっかけにSNSは炎上状態になりました。男による投稿の事実は確認できなかったものの保健所の調査で不適切な衛生管理が発覚し、店は最終的に閉店しました。
企業におけるWeb、SNSでの誹謗中傷対策
個人だけでなく、社会的信用の低下などの不利益を被るリスクを下げるため、企業においてもWeb、SNSでの誹謗中傷対策が重要です。
ここでは誹謗中傷を未然に防ぐ方法、誹謗中傷を受けた場合に取るべき対応を解説します。
発生したリスクを対策。オンライン評判管理対策
誹謗中傷のリスクを素早く検知するためには、「オンライン評判管理対策」の活用がおすすめです。
「オンライン評判管理対策」では主に「ネガティブサイト対策サービス」「ネガティブキーワード対策サービス」「リスク検知ツール「Bench Mark」の3つの機能を使用し、Web上のリスクへの対策を行えます。
「ネガティブサイト対策サービス」は、GoogleやYahooなどの検索エンジンの上位に誹謗中傷サイトを表示させないサービスです。ユーザーが誹謗中傷が書き込まれているサイトを目にする機会を減らすことで、書き込みの拡散や炎上を未然に防止できます。
「ネガティブキーワード対策サービス」では、検索エンジンの入力補助や関連検索で自動的に表示されるキーワードの中に誹謗中傷キーワードが含まれていないかをチェック可能です。こちらも「ネガティブサイト対策サービス」同様、早期に発見することでユーザーがネガティブな情報を目にするのを防止します。
「リスク検知ツール『Bench Mark』」は、検索エンジンで表示される検索結果上の誹謗中傷サイトやキーワードを常時モニタリングし、新たに誹謗中傷サイトやキーワードが発生した場合にアラートを通知します。誹謗中傷の拡大を防げるだけでなく、問題の表示履歴が残るため、今後の対策を講じる手助けにもなります。
誹謗中傷による炎上を防ぐためにmimamornがおすすめ
誹謗中傷による炎上を防ぐために、「ミマモルン -Mimamorn-」の導入を検討しましょう。
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