特定商取引法とは?対象の取引と具体例、違反時の罰則をわかりやすく解説
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「初回500円の広告を見て購入したら、実は定期購入だった」「無料点検と言われて自宅に来た業者から高額な契約を勧められた」──こうした消費者トラブルは、企業にとっても他人事ではありません。
近年はECサイトやSNS広告の普及により、広告表示や契約内容をめぐるトラブルが増加しています。特にマーケティング担当者や広告審査担当者にとっては、「どこまでが適法な表現なのか」「自社の販売方法に問題はないか」を正しく理解しておくことが重要です。
特定商取引法は、こうした消費者トラブルを未然に防ぐために設けられた法律です。本記事では、特定商取引法の概要から対象となる7つの取引類型、事業者に求められる義務、違反時の罰則までわかりやすく解説します。
※本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。最新情報は厚生労働省ウェブサイトをご確認ください。
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特定商取引法とは?
特定商取引法(正式名称:特定商取引に関する法律)は、訪問販売や通信販売など、消費者との間でトラブルが発生するおそれのある取引について、事業者が守るべきルールを定めた法律です。
消費者庁が所管しており、対象となる取引では、販売価格や契約条件、返品・解約に関する事項など、消費者が取引内容を適切に判断するために必要な情報を表示することが求められています。また、不実告知や威迫的な勧誘など、消費者の自主的かつ合理的な意思決定を妨げるおそれのある行為についても規制が設けられています。
特定商取引法の目的は、消費者利益の保護を図るとともに、取引の公正性を確保することです。事業者と消費者が適切な情報に基づいて取引できる環境を整備することで、健全な市場の発展につなげることが期待されています。
関連記事:コンプライアンスとは何を守ることなのか?重要性や取り組み方法を紹介
2021年の法改正による変更点
2021年の法改正では、通信販売における定期購入トラブルへの対策が大幅に強化されました。
特に重要なのが、最終確認画面で契約内容を明確に表示する義務です。事業者は購入手続きの完了前に、以下のような情報を消費者へ分かりやすく提示しなければなりません。
- 支払総額
- 契約期間
- 定期購入の有無
- 解約条件
- 商品・サービス内容
例えば月額5,000円の定期サービスの場合、年間では60,000円の支払いになります。事業者側がこうした条件を適切に表示していなかった場合、消費者トラブルや行政指導につながる可能性があります。
近年はSNS広告やサブスクリプションサービスの利用拡大に伴い、新たな販売手法が次々に登場しています。そのため企業には、法改正への継続的な対応と適切な広告表示体制の整備が求められています。
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特定商取引法の対象となる7つの取引類型
特定商取引法では、特に消費者トラブルが発生しやすい7つの取引類型を規制対象としています。
自社がEC事業を運営している場合は通信販売、電話営業を行っている場合は電話勧誘販売など、自社の事業形態がどの類型に該当するかを把握することが法令順守の第一歩になります。
参照:特定商取引法とは
対象①訪問販売
訪問販売とは、事業者が消費者の自宅や勤務先などを訪問し、商品やサービスの契約を勧誘・販売する取引形態を指します。
店舗で商品やサービスを選ぶ場合とは異なり、訪問先で勧誘が行われるため、状況によっては消費者が十分な情報収集や比較検討を行う機会が限られる場合があります。そのため、特定商取引法では訪問販売に関するルールが定められています。
事業者は勧誘を行う際に、氏名または事業者名、契約の勧誘を目的としていることなどを明らかにすることが求められています。また、消費者が契約を締結しない意思を示した場合には、その意思に反して勧誘を継続することは認められていません。
さらに、訪問販売では、法令で定められた要件を満たす場合、契約書面を受け取った日から一定期間内であれば契約を解除できるクーリング・オフ制度が設けられています。
このような制度は、消費者が取引内容を適切に判断できる環境を整備し、取引の適正化を図ることを目的としています。また、消費者保護だけでなく、公正な取引環境の形成や消費者教育の推進にもつながるものとされています。
<訪問販売の具体例>
訪問販売の例として、リフォーム事業者の担当者が自宅を訪問し、住宅の状態について説明したうえで、外壁工事や屋根修理などの契約を提案するケースがあります。
住宅設備や建築に関する専門知識を持たない消費者にとっては、その場で工事の必要性や契約内容を十分に判断することが難しい場合もあります。そのため、特定商取引法では、消費者が契約内容を改めて検討できるよう、クーリング・オフ制度などの仕組みが設けられています。
また、事業者による不適切な勧誘行為を防止するためのルールも定められており、消費者が取引内容を適切に判断できる環境の整備が図られています。
対象②通信販売
通信販売とは、インターネット通販やテレビショッピング、カタログ販売など、事業者と消費者が対面せずに商品やサービスを取引する販売形態を指します。近年はスマートフォンやECサイトの普及により、日常的に利用される機会が増えています。
一方で、購入前に商品を直接確認できない場合もあることから、商品内容や契約条件、返品・解約に関する事項などをめぐるトラブルが発生するケースもあります。そのため、特定商取引法では通信販売に関するルールが定められています。
通信販売を行う事業者には、「特定商取引法に基づく表記」として、事業者名、所在地、電話番号、販売価格、送料、返品・交換条件などの情報を表示することが求められています。
また、消費者に誤認を与えるおそれのある表示や、実際の取引条件と異なる広告表示などについても規制が設けられています。例えば、定期購入であることや契約条件を分かりにくく表示した場合には、表示内容によって問題が指摘される可能性があります。
このようなルールは、消費者が取引内容を適切に理解したうえで購入を判断できる環境を整備し、公正な取引の確保を図ることを目的としています。
<通信販売の具体例>
通信販売の例として、SNS広告で「初回500円」などと表示された化粧品の販売ページへ誘導され、申し込み後に定期購入契約であることに気付くケースが挙げられます。
消費者によっては、通常購入と認識したまま申し込みを行う場合もあるため、特定商取引法では、事業者に対して契約内容や支払総額、定期購入の有無、解約条件などの重要事項を分かりやすく表示することが求められています。
また、実際の契約条件と異なる印象を与える表示や、消費者に誤認を与えるおそれのある広告表示についても規制が設けられています。
対象③電話勧誘販売
電話勧誘販売とは、事業者が電話を通じて商品やサービスの購入を勧誘する取引形態を指します。電話で商品やサービスの説明を行い、その後に郵送やインターネットなどを通じて契約を締結するケースも電話勧誘販売に含まれます。
電話による勧誘では、消費者が十分な情報収集や比較検討を行う機会が限られる場合があるため、特定商取引法では電話勧誘販売に関するルールが定められています。
事業者は電話で勧誘を行う際に、事業者名や担当者名、契約の勧誘を目的としていることなどを明らかにすることが求められています。また、消費者が契約を締結しない意思を示した場合には、その意思に反して勧誘を継続することは認められていません。
さらに、威迫的な勧誘や消費者の判断を不当に妨げる行為についても規制が設けられています。加えて、法令で定められた要件を満たす場合には、契約後であっても一定期間内に契約を解除できるクーリング・オフ制度が適用されます。
このような制度は、消費者が取引内容を適切に理解し、契約について冷静に判断できる環境を整備することを目的としています。
<電話勧誘販売の具体例>
投資用マンションの営業電話が代表例です。
「将来の資産形成につながる可能性があります」「家賃収入が期待できます」などと説明し契約を勧誘するケースがありますが、消費者が電話だけで十分な判断を行うことは容易ではありません。
そのため、クーリング・オフ制度などによる保護が設けられています。
対象④連鎖販売取引
連鎖販売取引とは、一般的に「マルチレベルマーケティング(MLM)」や「マルチ商法」と呼ばれる取引形態の一つで、商品やサービスの販売とあわせて新たな会員の勧誘を行い、その実績に応じて報酬を受け取る仕組みです。
会員は商品やサービスを販売するだけでなく、新たな会員を紹介することで報酬を受け取れる場合があります。一方で、取引内容や収益構造を十分に理解しないまま契約したことによるトラブルが発生するケースもあるため、特定商取引法では連鎖販売取引に関するルールが定められています。
事業者には、契約前に取引内容や費用、報酬体系などを記載した書面を交付し、重要事項を説明することが求められています。また、将来の利益を保証するような断定的な説明や、消費者の判断を不当に左右する勧誘行為についても規制が設けられています。
さらに、法令で定められた要件を満たす場合には、契約後であっても一定期間内にクーリング・オフ制度を利用することができます。
<連鎖販売取引の具体例>
連鎖販売取引の例として、美容関連商品を取り扱うネットワークビジネスが挙げられます。会員が化粧品やサプリメントなどの商品を販売しながら、新たな会員を紹介することで報酬を受け取る仕組みです。
このような取引では、商品内容や契約条件、費用負担、報酬体系などを十分に確認したうえで参加を判断することが重要です。
そのため特定商取引法では、契約前に重要事項を書面で説明することが求められており、消費者に誤認を与えるおそれのある説明や、将来の利益を保証するような勧誘については規制が設けられています。
対象⑤特定継続的役務提供
特定継続的役務提供とは、一定期間にわたって継続的に提供されるサービスのうち、特定商取引法で定められた取引形態を指します。契約期間が比較的長期に及び、支払総額も高額になる場合があることから、契約内容や解約条件をめぐるトラブルが発生するケースがあります。そのため、特定商取引法では消費者保護のためのルールが設けられています。
対象となるサービスには、エステティックサロン、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスなどがあります。事業者には、契約前にサービス内容や料金、契約条件、解約に関する事項などを記載した書面を交付することが求められています。
また、法令で定められた要件を満たす場合には、契約後一定期間内であればクーリング・オフ制度を利用できます。さらに、中途解約に関するルールも定められており、事業者が請求できる損害賠償額や違約金には上限が設けられています。
このような制度は、消費者が契約内容を十分に理解したうえでサービスを利用できる環境を整備することを目的としています。
<特定継続的役務提供の具体例>
特定継続的役務提供の例として、長期契約の脱毛サロンが挙げられます。利用者が複数回の施術を受けるコースを契約し、一定期間にわたってサービスの提供を受けるケースです。
このような契約では、利用状況や生活環境の変化などにより、契約期間中にサービスの継続が難しくなる場合もあります。そのため、特定商取引法では、契約内容の書面交付やクーリング・オフ制度、中途解約に関するルールなどが設けられています。
契約を検討する際には、サービス内容や総額費用、解約条件などを事前に確認し、十分に理解したうえで判断することが大切です。
対象⑥業務提供誘引販売取引
業務提供誘引販売取引とは、仕事の提供や収入を得る機会があることを示し、その条件として商品購入や登録料、教材費などの負担を求める取引形態を指します。代表的な例としては、在宅ワークや副業支援サービス、情報商材の販売などが挙げられます。近年では、SNSや動画広告などを通じて勧誘が行われるケースも見られます。
こうした取引では、契約内容や費用負担、収益に関する条件を十分に理解しないまま契約したことによるトラブルが発生する場合があります。そのため、特定商取引法では業務提供誘引販売取引に関するルールが定められています。
事業者には、契約前に業務内容や必要な費用、収益条件などの重要事項を明示することが求められています。また、実際の内容と異なる説明や、将来の収益を保証するような表示についても規制が設けられています。
さらに、法令で定められた要件を満たす場合には、契約後一定期間内であればクーリング・オフ制度を利用できる場合があります。
<業務提供誘引販売取引の具体例>
業務提供誘引販売取引の例として、副業に関する教材やサポートサービスの販売が挙げられます。SNS広告などを通じて副業に関する情報提供やサポートを案内し、その利用にあたって教材やサービスの購入を求めるケースです。
このような取引では、契約内容や必要な費用、提供されるサービスの内容、解約条件などを十分に確認することが重要です。
そのため特定商取引法では、事業者に対して契約内容や費用負担、収益条件などの重要事項を明示することを求めるとともに、消費者に誤認を与えるおそれのある表示や不適切な勧誘行為について規制を設けています。
対象⑦訪問購入
訪問購入とは、事業者が消費者の自宅などを訪問し、貴金属やブランド品、着物などの物品を買い取る取引形態を指します。近年は、不用品の買取サービスを利用する機会が増える一方で、買取に関するトラブルへの対応も求められるようになりました。こうした背景を踏まえ、訪問購入は2013年の特定商取引法改正により規制対象に追加されています。
訪問購入では、消費者がその場で売却を判断することになるため、取引内容や条件を十分に確認することが重要です。そのため、特定商取引法では訪問購入に関するルールが定められています。
事業者には、訪問時に事業者名や買取目的を明らかにすることが求められており、契約後には買取対象物や買取金額などを記載した書面を交付する必要があります。また、法令で定められた要件を満たす場合には、クーリング・オフ制度を利用することも可能です。
さらに、消費者が売却を希望していない物品について勧誘を行うことなど、一定の行為については規制が設けられています。
<訪問購入の具体例>
訪問購入の例として、貴金属の出張買取サービスが挙げられます。事業者が消費者の自宅を訪問し、不要になったアクセサリーや貴金属などを査定したうえで買取を行うケースです。このような取引では、査定内容や買取価格、契約条件などを十分に確認したうえで判断することが重要です。
そのため特定商取引法では、書面交付やクーリング・オフ制度などのルールを設けることで、消費者が取引内容を適切に理解したうえで契約を行える環境の整備を図っています。
特定商取引法において事業者に課される規制内容
特定商取引法では、消費者を保護するために事業者へさまざまな規制を設けています。主に「行政規制」と「民事ルール」の2つに分類され、勧誘方法や広告表示、契約解除時の対応などに関するルールが定められています。
参照:特定商取引法とは
1. 行政規制
行政規制とは、消費者との取引において、事業者が遵守すべきルールや基準を定めた制度です。特定商取引法では、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売などの取引を対象に、事業者が守るべき表示義務や勧誘に関するルールが定められています。
こうした行政規制は、消費者が取引内容を十分に理解したうえで適切な判断を行える環境を整備し、取引の適正化や消費者トラブルの未然防止を図ることを目的としています。
・氏名等の明示の義務付け
特定商取引法では、事業者が勧誘を行う際に、事業者名や勧誘目的などを明らかにすることが求められています。これは、消費者が「誰から」「どのような目的で」勧誘を受けているのかを理解したうえで、契約について適切に判断できるようにするためです。
特に、訪問販売や電話勧誘販売では、消費者が十分な情報収集や比較検討を行う機会が限られる場合があることから、特定商取引法によって勧誘時のルールが定められています。
例えば、事業者名や勧誘目的を明らかにしないまま勧誘を行うことや、実際の目的と異なる説明によって契約を勧誘する行為については規制が設けられています。事業者には、契約締結前に事業者名や担当者名、商品・サービスの販売や契約締結を目的とした勧誘であることなどを伝えることが求められています。
こうしたルールは、訪問販売や電話勧誘販売、連鎖販売取引などに適用されます。また、消費者庁では、消費者トラブルの防止に向けて、制度の周知や注意喚起を継続的に行っています。
・不当な勧誘行為の禁止
特定商取引法では、不実告知や威迫行為など、消費者の適切な意思決定を妨げるおそれのある勧誘行為について規制が設けられています。これは、消費者が商品やサービスに関する情報を十分に理解したうえで、契約の可否を判断できる環境を整備するためです。
事業者には、商品やサービスに関する重要事項について、正確な情報を提供することが求められています。また、消費者に誤解を与えるおそれのある説明や、不当に契約を促すような勧誘方法についても注意が必要です。
例えば、将来の利益や効果を保証するような説明や、実際の条件以上に有利であると誤認させる表示については、内容によって問題が指摘される可能性があります。また、消費者が契約を希望しない意思を示したにもかかわらず勧誘を継続する行為や、消費者へ過度な心理的負担を与える勧誘行為についても規制の対象となります。
近年は、SNS広告やオンラインサービス、副業関連の情報発信など、インターネットを活用した勧誘や広告も増えています。そのため、事業者には取引形態や媒体を問わず、適切な情報提供と法令に配慮した運用が求められています。
・広告規制
通信販売では、消費者が取引内容を十分に理解したうえで商品やサービスを購入できるよう、広告表示や情報提供に関するルールが定められています。インターネット通販やテレビショッピングなどでは、購入前に商品を直接確認できない場合もあるため、事業者には分かりやすく適切な情報提供が求められています。
特定商取引法では、販売価格や送料、支払時期・支払方法、返品・交換条件、事業者情報などの重要事項を表示することが求められています。
また、「初回無料」「お試し価格」などの表示を行う場合には、定期購入の有無や契約条件、解約条件などについても消費者が理解しやすい形で表示することが重要です。表示内容によっては、消費者に誤認を与えるおそれがあるとして問題が指摘される可能性があります。
さらに、根拠のない効果をうたう表示や、実際の内容と異なる広告表示についても規制が設けられています。近年はSNS広告や動画広告などを活用した販売手法も広がっていることから、事業者には媒体を問わず、取引条件や商品情報を適切に伝えることが求められています。
こうしたルールは、消費者が必要な情報を把握したうえで適切に購入を判断できる環境を整備し、公正な取引の確保を図ることを目的としています。
・書面交付義務
訪問販売や電話勧誘販売などでは、事業者に対して契約内容を記載した書面を交付することが求められています。これは、消費者が契約内容を確認し、取引条件を適切に理解できるようにするためです。訪問や電話による勧誘では、その場で契約について検討するケースもあることから、特定商取引法では書面交付に関するルールが定められています。
交付する書面には、商品やサービスの内容、販売価格、支払方法、事業者名や連絡先、契約日、クーリング・オフ制度に関する事項などの重要情報を記載する必要があります。特に、クーリング・オフ制度の適用条件や手続き方法については、消費者が理解しやすい形で示すことが求められています。
また、書面の交付が行われなかった場合や、重要事項の記載内容に不備がある場合には、行政機関による指導や対応の対象となることがあります。さらに、状況によってはクーリング・オフ期間の起算に影響する場合もあります。
このような書面交付制度は、消費者が契約内容を後から確認できるようにするとともに、取引の適正化や消費者保護を図ることを目的としています。
2. 民事ルール
民事ルールとは、消費者が契約内容について十分に理解しないまま契約を締結した場合や、不適切な勧誘などによって不利益を受けた場合に、契約の解除や取消しなどを行うための制度です。
これらの制度は、消費者が契約内容を改めて検討する機会を確保するとともに、適切な意思決定に基づかない契約による不利益の軽減を図ることを目的としています。
・クーリング・オフ
クーリング・オフとは、特定商取引法などで定められた取引において、一定期間内であれば消費者が契約の解除を申し出ることができる制度です。訪問販売や電話勧誘販売などでは、十分な検討時間を確保できないまま契約に至る場合もあることから、消費者保護の観点から設けられています。
この制度により、消費者は契約後に改めて契約内容を確認し、契約を継続するかどうかを検討することができます。
訪問販売や電話勧誘販売では、契約書面を受け取った日から原則として8日以内であれば、法令で定められた要件のもとでクーリング・オフを行うことができます。また、連鎖販売取引や特定継続的役務提供では、原則として20日以内とされている場合があります。
クーリング・オフが適法に行われた場合、事業者は違約金や損害賠償を請求することができず、受領した金銭について返還義務が生じます。
対象となる取引には、訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、訪問購入などがあります。クーリング・オフ制度は、消費者が契約内容を見直し、適切な判断を行う機会を確保するための重要な仕組みの一つです。
・意思表示の取消し
事業者による不実告知や重要事項の不告知によって消費者が誤認し、その結果として契約を締結した場合には、特定商取引法に基づき契約の意思表示を取り消せる場合があります。これは、消費者が適切な情報に基づいて契約を判断できる環境を確保し、公正な取引を促進することを目的とした制度です。
事業者には、商品やサービスに関する重要事項について正確な情報を提供することが求められています。また、消費者の判断に影響を与える事項について、事実と異なる説明を行ったり、重要な情報を伝えなかったりする行為については規制が設けられています。
例えば、契約条件や解約条件について実際と異なる説明が行われた場合や、消費者の判断に重要な影響を与える事項が十分に説明されなかった場合には、状況によって契約の取消しが認められる可能性があります。
契約の取消しが認められた場合の効果については、個別の契約内容や状況によって異なります。そのため、具体的な対応については、関係法令や公的機関の情報を確認することが重要です。
近年は、SNS広告やオンライン契約などを通じた取引も増えていることから、事業者には媒体を問わず、適切な情報提供と法令に配慮した運用が求められています。
・損害賠償等の額の制限
特定商取引法では、契約解除時に事業者が請求できる損害賠償額や違約金について一定のルールが設けられています。これは、消費者が契約を解約する際に過度な負担を負うことを防ぎ、適切な契約解除を行えるようにするためです。特に、長期間かつ高額な契約となる場合がある特定継続的役務提供では、中途解約に関する規定が設けられています。
例えば、エステティックサロンや英会話教室、学習塾などの継続的なサービス契約では、契約期間中に利用状況や生活環境が変化することもあります。そのため、特定商取引法では、事業者が請求できる損害賠償額や違約金について上限を定めています。
また、契約内容や解約時の状況によっては、未提供分のサービス料金について返金が行われる場合もあります。具体的な取扱いは契約内容や法令上の要件によって異なるため、契約時には解約条件や費用負担について事前に確認しておくことが重要です。
このような制度は、消費者が契約内容を十分に理解したうえで取引を行い、状況の変化に応じて適切に契約を見直せる環境を整備することを目的としています。
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特定商取引法に違反した場合の罰則
特定商取引法に違反した場合、違反内容や状況に応じて、行政機関による指導や行政処分の対象となることがあります。これは、不適切な勧誘や販売行為による消費者トラブルを防止し、取引の適正化を図るために設けられている仕組みです。
主な行政処分としては、業務改善指示や業務停止命令、業務禁止命令などがあります。また、処分内容によっては、行政機関によって事業者名や違反内容が公表される場合もあります。
さらに、違反の内容や態様によっては、刑事罰の対象となるケースもあります。具体的な処分内容は個別の事案によって異なりますが、事業活動や企業運営へ影響を及ぼす可能性があります。
近年は、企業に関する情報がインターネットやSNSなどを通じて広く共有されることもあるため、法令遵守や適切な取引体制の整備が重要とされています。そのため、事業者には広告表示や契約内容、勧誘方法などについて継続的に確認し、関連法令に配慮した運用を行うことが求められています。
関連記事:コンプライアンス違反とは?具体例や原因、対策と対処法について紹介
特定商取引法に基づく表記の記載例
通信販売を行う事業者には、特定商取引法に基づき、「特定商取引法に基づく表記」をWebサイトなどへ掲載することが求められています。これは、消費者が事業者情報や取引条件を確認したうえで、適切に購入を判断できるようにするための制度です。
インターネット通販では、事業者と消費者が対面せずに取引を行うため、契約内容や事業者情報を分かりやすく表示することが重要とされています。
例えば、ECサイトでは以下のような情報が掲載されます。
・販売事業者名:株式会社××
・運営責任者:山田 太郎
・所在地:東京都渋谷区○○1-2-3
・電話番号:03-1234-5678
・メールアドレス:info@sample-store.jp
・販売価格:各商品ページに記載
・商品代金以外の必要料金:送料・振込手数料
・支払方法:クレジットカード、銀行振込、PayPay
・支払時期:注文時決済
・商品引渡時期:注文確定後3〜5営業日以内発送
・返品・交換条件:商品到着後8日以内に限り対応
特定商取引法に基づく表記は、消費者が取引条件を事前に確認するための重要な情報です。特に、返品・交換条件や定期購入の有無、解約条件などについては、消費者が内容を理解しやすい形で表示することが求められています。
また、近年はSNS広告やサブスクリプションサービスを利用した販売形態も広がっていることから、契約内容や支払総額などの重要事項について、分かりやすく表示することの重要性が高まっています。
事業者には、取引条件を適切に開示し、消費者が十分な情報に基づいて判断できる環境を整備することが求められています。
特定商取引法に違反しないための対策
特定商取引法に対応するためには、広告表示や契約内容を適切に管理し、消費者へ正確で分かりやすい情報を提供することが重要です。また、関連法令やガイドラインの内容を継続的に確認し、法改正や制度変更へ対応できる体制を整備することも求められます。
消費者庁が公表しているガイドラインをよく理解する
特定商取引法に関するガイドラインは、消費者庁などの行政機関によって公表されており、事業者には内容を理解したうえで適切に対応することが求められています。ガイドラインでは、対象となる取引類型や広告表示に関する考え方、クーリング・オフ制度の運用などについて示されています。
特に、通信販売やSNS広告などでは、表示内容によっては消費者に誤認を与えるおそれがあるため、広告表現や取引条件の表示方法に配慮することが重要です。
また、法令や関連するガイドライン、行政機関による公表資料などは更新される場合があるため、事業者は最新の情報を確認しながら、広告表示や契約手続き、社内ルールなどを継続的に見直していくことが望ましいとされています。
適切な情報提供とコンプライアンス体制の整備を行うことは、特定商取引法への対応強化につながる可能性があります。
参照:特定商取引法とは?概要や実務上の注意点をわかりやすく紹介
最新の法令に対応できる体制を構築する
特定商取引法や景品表示法など、広告や販売活動に関する法令・ガイドラインは定期的に見直しが行われており、事業者には最新のルールを踏まえた対応が求められています。一方で、自社のみで広告審査や法令確認を行う場合、専門知識や確認体制の確保が課題となることもあります。
こうした課題への対応策の一つとして、広告審査代行サービスの活用が挙げられます。第三者によるチェック体制を取り入れることで、広告表示に関する確認業務の効率化や、コンプライアンス体制の強化につながる場合があります。
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広告表示や法令対応の体制整備を検討している場合は、「AdTRUST」のサービス内容を参考にすることも選択肢の一つです。
まとめ
特定商取引法は、消費者トラブルの防止と取引の適正化を目的として定められた法律です。訪問販売や通信販売、電話勧誘販売などの取引を対象に、事業者には氏名等の明示や書面交付、広告表示に関するルールの遵守が求められています。
また、クーリング・オフ制度や契約の取消しに関する制度など、消費者保護のための仕組みも設けられています。
違反内容や状況によっては、行政指導や行政処分、罰則の対象となる場合があるため、事業者は関連法令やガイドラインの内容を理解し、広告表示や契約手続き、勧誘方法などについて継続的に確認することが重要です。
適切なコンプライアンス体制を整備し、最新の法令や制度動向を踏まえながら運用を行うことが、特定商取引法への対応強化につながると考えられています。
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参考情報・一次情報
- 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/
- 消費者庁:https://www.caa.go.jp/
- e-Gov法令検索:https://elaws.e-gov.go.jp/
※本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、法的助言を行うものではありません。個別の事案に関する判断や対応については、弁護士その他の専門家へご相談ください。
この記事の監修者

SORILaコンテンツ編集チーム
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