医療広告ガイドラインとは?8つの禁止事項と違反事例をわかりやすく解説

「この表現、本当に掲載して大丈夫ですか?」 ──LP公開直前、法務確認で広告文言に差し戻しが入った経験はありませんか。特に美容医療や自由診療では、ビフォーアフター写真や効果訴求が医療広告ガイドライン違反と判断され、行政指導やSNS拡散につながるケースもあります。本記事では、医療広告で禁止される8つの表現や違反リスクをわかりやすく整理します。
※本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。最新情報は厚生労働省ウェブサイトをご確認ください。
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医療広告ガイドラインとは?
医療広告ガイドラインとは、医療法第6条の5に基づき、厚生労働省が定める「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」を指します。
医療は人の生命や健康に直接関わる分野であるため、誤解を招く表現や過度な訴求は重大なリスクを伴います。そのため、一般的な広告よりも厳格なルールが設けられており、表示できる内容や表現方法が細かく規定されています。
特に2018年(平成30年)の改正では、 WebサイトやSNS、LP(ランディングページ)などインターネット広告も規制対象となっており、現在では、クリニックサイトやLP、Instagram投稿、比較記事なども広告と判断される可能性があります。
医療広告ガイドラインが導入された背景
医療広告ガイドラインが導入された背景には、誇大広告や虚偽広告によって患者が誤認し、トラブルに発展するケースが増加したことがあります。特に美容医療や自由診療の分野では、「必ず効果が出る」「短期間で治る」といった断定表現によって、患者が過度な期待を抱き、トラブルへ発展するケースが問題視されてきました。
こうした状況を受け、患者保護と適切な情報提供を目的としてガイドラインが整備され、広告内容の適正化が進められています。
医療広告ガイドラインの改正による変更点
医療広告ガイドラインは2018年(平成30年)に大きく改正され、それまで規制対象外とされていたWebサイトやSNSも「広告」として扱われるようになりました。これにより、医院の公式サイトやLP、ブログ記事、バナー広告なども規制対象となり、違反リスクが大幅に拡大しています。
また、ビフォーアフター写真や体験談の扱いについても厳格化され、効果を誤認させる可能性のある表現は禁止されました。現在では、広告か否かにかかわらず、患者の判断に影響を与える情報は慎重に管理する必要があります。
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医療広告の定義について
医療広告とは、厚生労働省の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」において、「患者の受診等を誘引する意図があり、かつ医療機関や医師など特定の提供者を特定できるもの」と定義されています。
つまり、「誘引性」と「特定性」の2つを満たす情報は広告とみなされ、医療広告ガイドラインの規制対象となります。媒体は問われず、WebサイトやSNS、ブログ記事、バナー広告なども対象となるため、意図せず違反となるケースも少なくありません。
参照:厚生労働省|医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針
医療広告に該当するもの
医療広告に該当するものとしては、例えば医院の公式サイトやランディングページ、リスティング広告、バナー広告などが挙げられます。また、「〇〇クリニックで治療を受けませんか」といった受診を促す表現や、特定の医療機関名・医師名が明示されているコンテンツも広告に該当します。
さらに、比較サイトやまとめ記事であっても、特定の医療機関へ誘導する意図がある場合は広告と判断される可能性があります。
医療広告とは見なされないもの
一方で、医療広告とは見なされないものとしては、純粋な学術論文や一般的な医療情報の解説記事などが挙げられます。
また、個人のSNS投稿や口コミについても、医療機関側が関与していない場合は原則として広告とはみなされません。ただし、医療機関側が投稿依頼や報酬提供を行っている場合は、広告と判断される可能性があります。
医療広告ガイドラインにおける8つの禁止事項と違反事例
医療広告ガイドラインでは、患者の誤認を防ぐため、広告表現に関する厳格なルールが設けられています。
特に注意が必要なのが、効果保証や比較優位、体験談などに関する8つの禁止事項です。これらは、患者に過度な期待や誤解を与える可能性があるため、WebサイトやSNSを含む広告全般で慎重な対応が求められます。
ここからは、それぞれの禁止事項と実務で注意したい表現例をわかりやすく解説します。
参照:厚生労働省|医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針
1. 虚偽広告
虚偽広告とは、事実と異なる内容を表示する広告を指します。
例えば、実際には存在しない治療実績を掲載したり、「絶対に成功する手術」などと断定的に効果を保証する表現が該当します。医療においては個人差が大きく、結果を保証することはできないため、このような表現は重大な違反となります。
NG
「必ず効果が出る治療」
問題点
医療広告ガイドラインでは、事実と異なる内容や、効果を断定的に保証する表現は禁止されています。医療は患者ごとに症状や体質が異なるため、「必ず」「絶対」などの表現は誤認を招く可能性があります。
推奨
「症状や状態に応じて適切な治療方法をご案内しています」
判定ポイント
「効果保証」や「成功断定」になっていないかを確認しましょう。
関連記事:偽広告・なりすまし広告・フェイク広告とは?偽広告のリスクと企業が取るべき対策|総務省ガイダンス徹底解説
2. 比較優良広告
比較優良広告とは、他の医療機関やサービスと比較して、自院が優れているように見せる表現を指します。
例えば、「地域No.1」「日本一の実績」「他院より高い成功率」などの訴求が該当します。こうした表現は、客観的な根拠や比較条件が明確でない場合、患者に誤認を与える可能性があります。
NG
「地域No.1の美容クリニック」「他院より高い成功率」
問題点
客観的根拠が不明確な最上級表現や比較表現は、比較優良広告と判断される可能性があります。調査データがあっても、比較条件や調査方法が明確でなければ使用は慎重な判断が必要です。
推奨
「〇〇エリアで美容医療の診療実績を重ねてきたクリニック」
判定ポイント
「No.1」「最高」「日本一」など、根拠不明の優位表現が含まれていないかを確認しましょう。
3. 誇大広告
誇大広告とは、実際の医療内容や期待できる効果以上に、優れているように見せる表現を指します。
例えば、「痛みゼロで安全に治療可能」「誰でも理想の結果が得られる」など、効果や安全性を断定的に訴求する表現は注意が必要です。また、安全性についても、「絶対安全」「副作用なし」などの断定表現は慎重な判断が求められます。 医療は患者ごとの症状や体質によって結果が異なるため、効果を過度に強調する表現は、患者に誤認を与える可能性があります。
NG
「たった1回で劇的改善」「痛みゼロで治療可能」
問題点
実際以上に効果や安全性を強調する表現は、誇大広告と判断される可能性があります。特に「副作用なし」「絶対安全」などの断定表現は注意が必要です。
推奨
「痛みに配慮しながら治療を行っています」
判定ポイント
過度な効果訴求や、安全性を断定する表現になっていないか確認しましょう。
関連記事:誇大広告とは?景品表示法による規制やペナルティ、違反事例などを解説
4. 公序良俗に反する内容の広告
公序良俗に反する広告とは、社会的な倫理や秩序を損なうおそれのある表現を含む広告を指します。医療広告では特に、患者の不安を過度に煽ったり、恐怖心を利用して受診を促したりする表現は慎重な判断が求められます。
例えば、「放置すると危険」「今すぐ治療しないと手遅れになる」といった訴求は、不安を必要以上に強調し、患者に誤認を与える可能性があります。
また、性的表現や差別的な内容、過度に刺激の強いビジュアルなども不適切とされる場合があります。
NG
「今すぐ治療しないと危険です」
問題点
患者の不安や恐怖を過度に煽る表現は、公序良俗に反する広告と判断される可能性があります。
推奨
「気になる症状がある場合は早めの受診をご検討ください」
判定ポイント
不安を過剰に刺激する表現になっていないかを確認しましょう。
5. 広告告示により広告が可能とされた事項以外の広告
医療広告では、広告として掲載できる内容が医療法および広告告示によって定められています。
具体的には、診療科目や診療時間、医療機関の所在地、医師の資格など、患者が医療機関を選択する際に必要となる基本情報が中心です。一方で、治療効果や成功率を過度に強調する表現は、患者に誤認を与える可能性があるため慎重な判断が求められます。
NG
「成功率90%以上」「満足度No.1」
問題点
医療広告では、広告可能事項が法律で定められており、治療効果や満足度を強調する訴求は制限される可能性があります。
推奨
診療内容や治療方針、対応可能な施術内容、治療実績を掲載
判定ポイント
広告可能事項の範囲を超えた訴求になっていないか確認しましょう。
6. 主観に基づく体験談
医療広告では、患者の体験談や口コミ表現の取り扱いにも注意が必要です。
特に、「人生が変わった」「劇的に改善した」「絶対におすすめ」といった主観的な評価は、あたかも誰にでも同様の効果が期待できるような印象を与える可能性があります。医療は患者ごとに症状や感じ方が異なるため、個人の感想を効果の根拠として強調する表現は慎重な判断が求められます。
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「人生が変わった」「絶対おすすめです」
問題点
個人の感想を断定的な効果の根拠として掲載すると、患者の誤認につながる可能性があります。
推奨
「施術内容やリスクについて事前に丁寧に説明していただきました」
判定ポイント
個人の感想が“誰にでも同じ効果がある”ように見えていないか確認しましょう。
7. 誤解を招く恐れのあるビフォーアフター写真
ビフォーアフター写真は、施術前後の変化を視覚的に伝えられるため、美容医療を中心に多く用いられています。
一方で、医療広告では、写真だけで治療効果を強調する表現は慎重な判断が求められます。特に、撮影条件が異なる写真や加工画像の使用は、患者に実際以上の効果を印象づける可能性があるため注意が必要です。
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ビフォーアフター写真のみを掲載
問題点
治療内容・リスク・副作用・費用などの説明が不足している場合、誤認を与える可能性があります。
推奨
施術内容や費用、リスク、副作用、ダウンタイムなどを併記
判定ポイント
写真だけで効果を強調していないかを確認しましょう。
8. その他(品位を損ねる内容、法令等で禁止されている内容)
その他にも、医療機関としての品位を損なうおそれのある広告や、関連法令への配慮が不足した表現には注意が必要です。
例えば、「業界激震」「驚異の治療法」といった過度に煽情的なキャッチコピーや、不安を過剰に刺激する訴求は、患者に誤認を与える可能性があります。医療広告では、注目を集めることよりも、患者が適切に判断できる情報をわかりやすく伝えることが重要です。
また、医療広告は医療法だけでなく、景品表示法や個人情報保護法など複数の法規制が関係します。そのため、単一のルールだけで判断するのではなく、広告表現や情報管理を含めて総合的に確認できる体制づくりが重要です。広告制作時には、法務や専門家と連携しながら、複数の観点でチェックを行うことが求められます。
医療広告ガイドラインに違反した場合の罰則・リスク
医療広告ガイドラインに違反した場合、行政機関から指導や是正勧告を受ける可能性があります。違反内容によっては、広告表現の修正や掲載停止を求められるケースもあり、広告運用や集患施策へ影響が及ぶこともあります。また、悪質と判断された場合には、行政処分や法的責任につながる可能性もあるため注意が必要です。
さらに近年は、法的リスクだけでなく、SNSや口コミサイトでの拡散による風評リスクも大きくなっています。例えば、「不適切な広告表現を使用しているクリニック」といった印象が広がることで、ブランドイメージの低下や予約数減少につながるケースもあります。特に自由診療では、LP差し替えや広告停止対応だけでも大きな機会損失になる可能性があります。
そのため、問題が発生してから対応するのではなく、広告公開前にチェック体制を整備し、比較表現や効果訴求、体験談などを事前に確認できる運用フローを構築することが重要です。
関連記事:Instagram炎上の企業事例12選!原因や対処法、対策方法を徹底解説
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医療広告ガイドラインを遵守するためのポイント
医療広告ガイドラインを遵守するためには、ガイドラインの内容を理解するだけでなく、広告制作や公開前のチェック体制を整備することが重要です。
特に、比較表現や効果訴求、体験談、ビフォーアフター写真などは判断が分かれやすく、担当者ごとの感覚だけで運用すると、確認漏れや表現のばらつきが発生する可能性があります。
チェックシートを作成し社内における基準を明確にする
医療広告における違反リスクを抑えるためには、担当者ごとの感覚だけに依存しない運用体制を整えることが重要です。その中でも有効なのが、広告チェックシートの作成と運用です。
例えば、「No.1などの比較表現が含まれていないか」「効果を断定する表現になっていないか」「体験談やビフォーアフター写真の掲載方法に問題がないか」など、確認項目をあらかじめ明文化しておくことで、誰が確認しても一定の基準で判断しやすくなります。
特に、広告運用担当や制作会社、法務担当など複数人が関わる場合、基準が曖昧なまま進行すると、判断のばらつきや確認漏れが発生する可能性があります。チェックシートを活用することで、確認フローを標準化し、広告品質とコンプライアンスの両立につなげやすくなります。
医療広告ガイドラインの知識がある人材を見つける
医療広告は、医療法だけでなく景品表示法や薬機法など複数の法規制が関係するため、一般的なマーケティング知識だけで判断することが難しい領域です。特に、「No.1表現」「効果訴求」「体験談」「ビフォーアフター写真」などは判断が分かれやすく、最新のガイドラインや行政動向を踏まえた確認が求められます。
そのため、社内で広告運用を行う場合は、定期的な研修や勉強会を通じて、最新の規制動向や違反事例を共有できる体制づくりが重要です。
一方で、専門知識を持つ人材の採用や育成には時間とコストがかかるため、外部の専門家や広告審査サービスと連携する企業も増えています。特に広告出稿量が多い企業では、専門知識を持つ人材が確認フローに関与することで、違反リスクを抑えながら広告運用を行いやすくなります。
広告審査代行サービスを導入する
医療広告ガイドラインへの対応を効率化し、広告審査の精度を高める手段として、広告審査代行サービスを活用する企業も増えています。専門知識を持つ外部チームが広告表現を確認することで、「No.1表現」「効果保証」「体験談」「ビフォーアフター写真」など、社内では判断が難しい表現についても事前にチェックしやすくなります。
特に広告出稿数が多い企業では、すべての広告を社内だけで確認し続けることが負担になり、確認漏れや判断のばらつきが発生する可能性があります。また、医療広告ガイドラインは改正や運用変更が行われることもあるため、最新情報を継続的に把握しながら運用することも重要です。
そのため、広告審査代行サービスを活用し、専門家による確認フローを取り入れることで、広告運用の負担を抑えながら、コンプライアンス体制を整備しやすくなります。
広告審査代行サービスの導入でガバナンス強化と事業スピードの両立に成功した事例
大手美容D2Cメーカーでは、広告出稿数の増加に伴い、社内の審査体制が逼迫し、担当者の負担増加と審査品質のばらつきが課題となっていました。特に、広告チェックが特定の担当者に依存していたため、判断基準の統一が難しく、違反リスクも高まっていました。
そこで広告審査代行サービス「AdTRUST」を導入した結果、一次審査業務を外部化し、約2人月分の工数削減を実現しました。さらに、最短1時間でのフィードバック体制により審査スピードが大幅に向上し、広告出稿量は約2.4倍に増加しました。加えて、審査コストも約40%削減され、ガバナンス強化と事業成長を同時に実現しています。
参照:美容D2CメーカーA社様の導入事例 | SORILa(ソリラ)
まとめ
医療広告ガイドラインは、患者が適切な医療選択を行うために設けられた重要なルールです。特に、8つの禁止事項や広告可能事項を正しく理解することは、法令順守だけでなく、医療機関としての信頼性を維持するうえでも重要です。
また、不適切な広告表現は、行政指導や広告修正対応につながる可能性があるだけでなく、SNSや口コミサイトで拡散されることで、ブランドイメージへ影響を及ぼすケースもあります。特に自由診療では、LP停止や広告差し替え対応による機会損失が発生する可能性もあるため、公開前の確認体制が重要になります。
そのため、医療広告を運用する際は、チェックシートの整備や専門知識を持つ人材との連携、広告審査体制の構築など、継続的にリスク管理を行える運用フローを整備することが重要です。
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参考情報・一次情報
- 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/
- 消費者庁:https://www.caa.go.jp/
- e-Gov法令検索:https://elaws.e-gov.go.jp/
※本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、法的助言を行うものではありません。個別の事案に関する判断や対応については、弁護士その他の専門家へご相談ください。
この記事の監修者

SORILaコンテンツ編集チーム
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